51話 終焉
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ジェクトが立っていた場所で、ユウナは異界送りを始めた。
しばらくすると、少し離れて見守るアーロンの身体から幻光虫がひとつ、またひとつ舞い上がる。
それに気付いたユウナは、舞いを止めた。
「続けろ」
「でも・・」
戸惑うユウナに
「ユウナ・・あなたの手で、送ってあげて」
「・・はい」
アヤに促され、舞いを続ける。
「これでいいさーー」
ユウナの舞いが終わると、アーロンはゆっくり歩き出す。
別れを告げるように、ひとりひとりを見詰めた。
キマリに礼を伝えるため胸を軽く叩き
ワッカとルールーの幸せを願い
リュックとユウナに未来を託し
ティーダに、息子にも似た愛情を込めーー
「ーー10年、待たせたからな」
スタジアムの端まで歩くと、後ろを振り返った。
「もう、お前たちの時代だ」
揺らいでいくアーロンの前に、アヤは静かに歩んで行く。
アヤの瞳に悲しみの色はなく、ただアーロンへの愛しさに満ちていた。
彼の前に立つと、両手を広げ、消え逝くアーロンを抱き締める。
その間にも、幻光虫は次々と四散していく。
「アヤーー」
もう、肉体の感触すらない胸に顔をうずめるアヤの耳に、アーロンが囁いた。
俺の魂は、おまえと共に在る
過去 ーー今までーー も
未来 ーーこれからーー も
ずっとーーー
最後の幻光虫が、別れを告げるように髪をすり抜け、ザナルカンドの宙へ螺旋を描いて上っていった。
残された指輪を、アヤは大事そうに手に取った。
「アヤさんーー」
その場を動かないアヤに、ユウナは呼び掛ける。
「ーー戻ろう、ユウナ。ここは、もうすぐ崩れるわ」
振り向いた瞳に、涙はなかった。
終
