51話 終焉
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究極召喚獣は、大剣をステージに突き刺し、苦し気に荒い呼吸を繰り返しながら突っ伏した。
やがて動かなくなった身体から、ゆらゆらと抜け出した、赤黒い塊があった。
ジェクトの魂に巣くっていた、大召喚士 エボン〓ジュ
エボン〓ジュが抜け出たことにより、究極召喚獣となっていたジェクトの魂は解放される。
魂の廻りに、幻光虫はジェクトの身体を形作った。
「あ、あぁーー・・・」
安堵の声を漏らし、ゆっくりと崩れ落ちるジェクトに、アーロンは駆け寄りたい気持ちをぐっと堪えた。
その横を、ティーダが走り抜ける。
アーロンの気持ちを察したアヤは、そっと腕に手を添えた。
膝を折ったジェクトを抱き留めたティーダは、無言で父を抱き締める。
「泣くぞ、すぐ泣くぞ、絶対泣くぞ。ほら、泣くぞーー」
腕の中で、いつものように悪態をつく。
不器用な父は、そうすることでしか愛情を表現出来ないのだ。
自分を見る慈愛に満ちた瞳に、ティーダの眼から涙が溢れ出す。
母の愛を独り占めした父
父を愛するが故に死んでいった母
そう思い込み、父を憎んだ
父にも 母にも 愛されていたのに
それに気付けなかった、子どもじみた自分
「大ッキライだーー」
溢れ落ちた熱い涙が、ジェクトの頬を濡らす。
長い間積み重なってきた蟠りが、溶け落ちた証し。
ジェクトは、穏やかな笑みを浮かべた。
「ははっ、まだ早いぜ」
ティーダはジェクトを横たえると、立ち上がって宙を睨む。
「全部終わらせてからーーだよな」
ザナルカンドの宙を、エボン〓ジュが赤黒い尾を引きながら旋回していた。
「わかってるじゃねえか。さすが、ジェクト様のガキだ」
上半身を起こすと、ティーダを見上げ、自慢気にジェクトは言った。
「初めて・・思った。あんたの息子で、良かった」
「けっーー」
「ジェクトさん、あの――」
「ユウナちゃん、時間がねえ。オレの中にいたアイツがーー」
ジェクトはよろよろと立ち上がる。
「ジャマすんじゃねえ!!」
スピードを上げ、徐々に迫り来るエボン〓ジュを振り払うようにティーダは怒鳴る。
「ユウナちゃん、わかってんな。召喚獣をーー」
「ボクたちをーー」
ジェクトの姿と、バハムートの祈り子の姿が重なった。
ーー呼ぶんだぞ
ーー呼ぶんだよ
言い終わると、ジェクトの身体はステージに倒れ込んだ。
動かなくなった身体から、幻光虫が舞い上がる。
幻光虫が全て宙へ飛び立つと、そこにいたジェクトの姿は消えていた。
「ーーはい!」
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