50話 オヤジの背中
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また歩き始めると、アーロンが云った。
「死せる夢の都だな」
「え?」
アヤは立ち止まり、アーロンを見る。
「アイツが夢見ている、ザナルカンドだ」
アーロンも、立ち止まる。
「ジェクトが?」
「あぁ」
「ーージェクトのいたザナルカンドって・・どんな所?」
その問いに、アーロンは遥か彼方を見るように、空を仰ぐ。
「高層のビルが建ち並び、街を縦横無尽に走るフリーウェイ。
明かりは一晩中灯り、終わらない夜。その明かりに、月さえも霞む」
星のごとく、幻光虫が漂う空に、目を細める。
「昼は太陽に
自分の生き様を、嘲笑るように聞こえた。
「私は、廃墟のザナルカンドしかわからない。
だから、夜を照らさない月を、想像出来ないけどーー」
指を絡め、目を閉じる。
「でもスピラの月は、夜を照らし、旅人を慰めてくれる。
夜の海で、航海を見守ってくれる。
漆黒の空も、その厚い灰色の雲の向こうに、
だからーー暗い夜の海も、怖くなかった。
貴方が、この月の光のどこかに、居るって信じてたから」
「俺も、ザナルカンドの月にお前を重ねていた。
きっと、俺たちが互いの月なら。ジェクトとティーダは、太陽だな」
「ブラスカは?」
悪戯っぽく笑うと、アーロンは優しい笑みをアヤに返した。
「ブラスカは、俺たちとティーダやユウナを繋ぐ、光だ」
「そうね・・私も、アーロンも、ブラスカが居なかったら、出逢うことはなかった」
「ジェクトや、ティーダともな」
「うん・・」
先を歩いていた、ティーダたちが立ち止まっていた。
「ティーダも、ジェクトの魂を感じているんだろう」
追い付くと、声を掛ける。
「この奥か?」
その声に、ティーダは振り向いた。
「あぁ、ここにいる」
答えると、すぐに前方を見据えた。
そのティーダを、皆は見つめる。
スタジアムの入り口
富と名声と 夢が溢れて
そこにいつも居た
俺が、ずっとずっと追いかけてきた
どんなに手を伸ばしても届かなかった
オヤジの背中ーーー
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