50話 オヤジの背中
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アーロンは、慈愛に満ちた眼差しをアヤに向ける。
その視線に促され、彼女はシーモアと向かい合った。
「シーモア・・十年前、独りぼっちになった私を支えてくれたのは・・貴方だった。
貴方は、私を利用しただけかもしれない。
けれど、あの寺院の中で・・羨望と妬みの視線の中で。
真実に押し潰されそうな、息苦しい毎日の繰り返しの中で・・
貴方と過ごすひと時だけが、心安らぐ時間だった」
始めて、シーモアの胸に
・・・
「あの時に云った言葉にーー嘘はないわ。貴方を、愛しています」
恥じらいながらも、はっきり告げたアヤを、シーモアは見つめ続ける。
「まだ、スピラを。人々を壊したいか?母親や、アヤの想いを踏みにじっても尚ーー」
アーロンが云った。
淋しいと泣きじゃくる幼いシーモアを、両手で包むように。
ブラスカは彼の前にしゃがみ、顔を覗き込んで微笑んでいた。
ジェクトは、クシャクシャと乱暴に頭を撫でながら、白い歯を見せて云った。
父親なんてよ、ほんっと損な役回りだぜ。なあーー
「・・父は、私の気持ちを・・聞いてくれるだろうか」
長い沈黙の後、泣き笑いのような笑みを浮かべシーモアは云った。
仮面のように貼り付いたものではなく、人間らしい笑み。
「きっと、聞いて下さるわ」
「自分の子を、憎む親などいない」
スフィアの中で、ジスカルは云っていた。
シーモアの憎しみを、甘んじて受け入れると。
例え、憎しみと云う感情しか向けられなくとも、何も望まないーー
逸れが彼なりの、息子に対する謝罪だったのだろう。
「ユウナ殿・・送ってはくれまいか」
「はい」
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