50話 オヤジの背中
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それから、どの位歩いただろう。
突入した時より、空気が重苦しくなったと感ずるのは、中心部に近づいている証拠なのだろうか。
エボン=ジュの思念に溢れた幻光虫の雲の海は、時間や距離の概念を忘れさせてしまう。
その時ーー
「何、あれ?なんか建ってるよ」
前方に、長い階段が現れた。それを指差すリュックに
「建造物ではない。何者かの心を、造り出しているのだろう」
そう云うアーロンに、視線が集まる。
「誰のーー?」
想像がついていながらも、訊かずにはいられなかった。
「シーモアよ」
階段を仰視したまま、アヤが静かに答えた。
「こうしていても仕方が無い。行くぞ」
アーロンが先を促すと、一様に緊張の面持ちで歩き出した。
案の定、階段上の舞台に佇む人物に、ティーダは露骨に嫌な顔をした。
「しつっこい野郎だな」
「シンは、私を受け入れたのだ。私は身体の一部と成り、不滅のシンと供に往く。永遠にな」
勝ち誇った笑みを零すシーモアを、ティーダはキッと見据える。
「吸収されただけじゃねえか」
ガガゼト山で幻光虫となり、シンに吸収され再構築された彼は
最早、“人”ではなくーー
「いずれ、内部から支配してやろう。時はーーそう、無限に有る。
お前たちが、ユウナレスカを滅ぼしてくれたおかげでーー」
一行を見渡し、幻光虫の空を仰いだ。
「究極召喚は永遠に失われ、シンを倒す術は消えた。最早、何人たりとも、シンを止められん」
「止めてやるよ」
「ならば、シンを護らねばならんな」
まるで愛しい者を見るように、恍惚と辺りを見渡す。
「感謝するがいい。私は、お前の父親を護ってやるのだ」
「あんたが、母親を護れなかった代わりにか?」
その言葉に、シーモアの笑みは一瞬で凍り付いた。
「
勝ち誇った笑みは消え、猜疑の色が浮かぶ。
「あんたの母親に、合いに行って来たんだ。アーロンと一緒に」
.
