6話 傷痕
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「お久しぶりですね、アヤ殿」
「ご無沙汰いたしております、シーモア老師」
「10年前と変わらず、いえ、それ以上に美しくなられましたね」
「ありがとうございます」
アヤは頭を下げた。
10年前、マカラーニャ寺院の僧官だったシーモアも、父親のあとを継いで老師となった。
勿論、彼の実力も十二分にあったのだが。
助けてもらった縁もあり、彼がベベル寺院を訪れた際には、顔を合わせていた。
落ち着いた物腰、丁寧な言葉使い、声もマスクも甘く、女性には人気が高かった。
でも、アヤはこの男が苦手だった。
それは、穏やかな笑顔の下に持つ、闇が視えたから。
私も持っている。
心の奥深くに。
投じられた石によって、穏やかな水面に広がるざわめく波紋が、アヤの闇なら
シーモアの闇は、碧く静かな湖の遥か底に、ドロドロと蠢く塊。
「では、マイカ総老師の護衛を、お願いします」
「お言葉ですが、あなたがいるのですから、私は必要ないでしょう」
「なにをおっしゃいます。伝説のガ-ドである貴女が護衛につく事に、意味があるのです。
それに、貴女がおそばについておられれば、シンは近づいて来ないのでしょう?」
「そんなこと、でまかせです。あなたまで信じていらっしゃるのですか?」
聡明なあなたが、と付け加えれば、心底おかしそうに笑った。
「勿論ですよ、アヤ殿。アヤ殿こそ、もっとご自分のお力を信じなければ」
「・・・」
「では、また後ほど」
その後ろ姿を見送れば、彼の奥底の闇は、さらに深く不快に視えた。
next あとがき.
