49話 永遠の陥落
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「いよいよって、わけだな」
無機質な機械の中のブリッジ。
シドの声に、力が篭もる。
千年の永き間、誰もが望みながら誰も成し遂げられなかった偉業。
それを、スピラの民から忌み嫌われ続けた、自分たちが成し遂げるかもしれない。
いや、成し遂げなければならない。
緊張が隠せない彼を見ながら、ティーダは言った。
「シンの中に、『エボンジュ』ってヤツがいるんだ。そいつを倒す」
それを聞いたシドは、鼻で笑った。
「ずい分、単純な答えじゃねえか」
長年苦しめられてきたシンを倒すにしては、余りにも簡明な答えだった。
「フクザツじゃなくて、良かったろ」
シドにつられ、ティーダも笑う。
彼の軽口に、落ち着いた声で頷いた。
「そりゃそうだ」
・・
「んで、あれ、頼むよ」
リュックが、操縦桿を握るアニキの隣りで言う。
「おう!あれだな」
シドは、壁際のパネルを操作する。
すると、艦内外のスピーカーから祈りの唄が流れ出した。
「どうだい?」
「うん、バッチリ!」
楽し気に聞くシドに、リュックは笑顔で頷いた。
「録音したの?」
アヤが尋ねると、シドは自慢気に答える。
「あぁ。マカラーニャ寺院の上を、ちょいと旋回してよ。
寺院のヤツら。ポカーンと口開けてたな」
今までに、何百回何千回と聞いてきた祈りの唄。
エボンの教えに裏切られ、失望した今でも
この唄は、神秘的に耳に染み入る。
それは、上辺だけの教えと違い、民の為に命を捧げた祈り子が歌っているからだろうか――?
ユウナは、しばし歌声に聴き入った。
「空飛ぶ船が、歌うーーか」
ルールーが呟くと、ワッカも感慨深げに言う。
「あとは、みんなが歌ってくれればいいんだがな」
「シン――っ!!」
前方を睨んでいたアニキが叫んだ。
モニターを注目する。
先程レーダーで発見したシンが、肉眼でもわかるくらいに接近していた。
シンをズームアップする。
顔と覚しき場所にある無数の黒い眼が、忙しなく動いていた。
ティーダは、掌を握り締める。
「おっし!行くぞっ!!!」
それを合図に、ユウナたちは次々にブリッジを飛び出していく。
シドは、最後に出ようとしたティーダを呼び止めた。
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