48話 思い出
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ブリッジに入ると、モニターを見ていたシドが振り返る。
「よう、随分ゆっくりだな。ま、その方が、あの二人には都合がいいか」
あまり眠っていない筈だが、疲れた様子も見せずに話し掛けて来た。
「迎えに行くか?」
「はい」
ユウナは頷いた。
コンチネンタル・サーカスはゆっくり旋回し、進路を変えた。
青い海から、陸へと進む。
やがて、モニターはガガゼト山の険しい頂きを捉えたが、じきに緑の平原へと景色を変えた。
徐々にクローズアップすると、旅行公司が映った。
アヤが、独りで空を見上げている。
飛空挺を、探しているのだろうか。
「ふ~ん、色っぺえ腰つきになりやがって。ありゃあ、アーロンの旦那に相当可愛いがられたな」
モニターに映るアヤの姿に、シドはニヤリといやらしい笑みを浮かべた。
「オヤジ・・やらしい」
リュックが呆れると
「キマリも、そう思う」
「キ、キマリ!?」
思いがけないキマリの科白に、リュックだけでなく全員が目を見張った。
「今日のアヤは、とても綺麗だ。そう、思わないか?」
「うん!」
自分を見下ろすキマリに、リュックは頷いた。
「やらしいことなんか、あるもんか。
好きなオトコとガキつくって、死ぬまで添い遂げる。
いちばん、大事なことじゃねえか」
シドの言葉に、ティーダはアヤを見つめ続けた。
なあ、アーロン
あんたは俺とは違う
自分の意志で 消えるんだろう?
この世界から
アヤの 隣りからーー
モニターを見上げながら、ユウナが口を開いた。
「私ね・・」
「ん?」
ティーダが、彼女の横顔を見る。
「私、ベベルに住んでいた頃、友だちがいなくて。いつも、独りぼっちで遊んでたの」
その頃を思い出すように、目を細める。
「日が暮れる頃になると、父さんが迎えに来て・・
父さんがいない時は、アーロンさんが来てくれた。
そのうち、アーロンさんと一緒にアヤさんも、迎えに来るようになってーー」
独りぼっちで遊ぶ、茜色の夕闇の中
アーロンとアヤの姿が見える。
駆け寄ると、抱き上げてくれた大きな手。
繋ぐ白く細い指が、温かかった。
「ユウナの・・もうひとりの、お父さんだったのね。アーロンさん」
ルールーが呟いた。
「うん・・」
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