47話 アナタの腕の中でみた夢
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シーモアを見送った後、アーロンはルールーに尋ねる。
ルールーはビサイト・オーラカのマネージメントをしていた。
「ところで、ティーダやワッカはもう着いているのか?」
「とっくに着いて、スタジアムに行きました」
「今日がオヤジをぶちのめす最後のチャンス!!ってはりきってました」
ユウナがティーダの言葉を伝えると、アーロンの眉間に深い皺が寄る。
「全く・・最後ぐらい父親に華を持たせる気がないのか、あいつは」
「あら、ジェクトも同じことを言ってたわよ」
「似たもの親子」
「あはははははは!!!!」
リュックのひと言に笑い声が起きる。一同はそのまま、スタジアムへと歩き出した。
係りの者に案内されていると、途中で歓声が沸き起こった。
シーモアが、婚約者を伴い貴賓席に姿を見せたからだ。
観客席に向かって一頻り手を振った後、ふたり並んで席に着いた。
アーロンが試合を観戦するときは、常に一般席だった。
ジェクトはいつでも特等席を用意してやると言うが
たくさんのファンに混じり、応援するのが好きだった。
「おっきな声で応援できるもんね~」
「う、うるさい・・・」
アヤに図星を指され、サングラスを直す仕草で赤くなる頬を隠した。
「こちらのお席でございます」
案内された6人分の席のひとつに、クッションがたくさん置いてあった。
それを見て、ブラスカは微笑む。
「ジェクトは知っているんだね」
「えぇ。昨日チケットのことで電話があって、そのときに・・」
ジェクトの気遣いに照れ笑いを浮かべ、アヤはその席に座った。
「アーロン様。これをジェクト様からお渡しするように言付かっております」
「? あぁ、ありがとう・・」
紙袋を手渡され、戸惑いながら受け取った。
「何?」
「さあ・・・?」
「出てきたよ!!」
青く煌めくスフィアプールに、ティーダをエースとするビサイト・オーラカと、ジェクト率いるザナルカンド・エイブスが姿を現した。
「ティーダ―――!!ジェクトさ~~ん!!」
「ワッカ~!!」
すぐにスタジアムが大歓声に包まれる。
プールの中央で睨み合っていた両選手が、各ポジションへ散った。
ブザーが鳴り、センターサークルに置かれたボールが跳ね上がる。
ジェクトの引退試合が始まった。
「いい試合だったわね」
鏡台の前に座り、タオルで髪を拭きながら話しかけた。
「あぁ・・・」
白いバスローブを着てベッドに腰掛けたアーロンは、まだ試合の余韻に浸っているようだ。
試合は4-3でザナルカンド・エイブスが勝った。
最後を決めたのは、ジェクトの<ジェクト様シュート3号>だった。
引退記念のパーティーは明日の夜だ。今夜は、独りで過ごしたいのだろう。
ドライヤーのスイッチを入れ髪を乾かし始めたとき、ふと思い出した。
「ねえ。そういえば、ジェクトから何を貰ったの?」
「ん?あぁ・・まだ見ていなかったな」
ベッドのサイドテーブルの上に置いてあった紙袋をとり、ガサガサと開いた。
「本・・?」
中にはメモが添えられた本が一冊入っていた。
俺さま推薦の本だ。役に立つぜ
と書かれていた。タイトルはーー
<妊娠中の体位全図鑑>
「!!!!!!!!!」
「ねえ、なんだったの?」
アヤが振り返った。
「い”!!!」
アヤの視線から、慌てて本を隠す。
「い、いや何でもないっ!!ほ、本当だっっ!!!!!」
「そう・・?」
ドライヤーを置きイスから立ち上がったアヤを抱き寄せる。
キャミソールドレスの上からは、妊娠していることはまだわからない。だが、確かに血を分けた新しい命が、ここにいるのだ。
「本当に・・家族が増えるんだな・・・」
「うん・・」
腰に腕を廻すと、腹部に顔を埋めた。
アーロンの髪を梳きながら、アヤは満ち足りた笑みを浮かべる。
「ねえ、アーロン」
「ん?なんだ」
「私・・・幸せよ・・・」
「あぁ・・・・俺もだ・・」
アヤは、アーロンの腕の中で眠りについた。
終.
