47話 アナタの腕の中でみた夢
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シーモアは廻りに祈りを返した後、手を上げてこちらに歩いてくる。
後ろには、護衛として従うチャップの姿も見えた。
ブラスカとアーロンの前に立つと、正式なエボンの祈りを行った。
その上品な立ち居振る舞いに、ユウナたちは思わず魅とれる。
「お久しぶりです。ブラスカ殿、アーロン殿」
マカラーニャ寺院を覆う白く美しい湖のような、心地よい澄んだ声が響いた。
見目麗しい姿と思慮深く穏やかな性格。
くわえて頭脳明晰な彼は、誰からも愛された。
3年前。まだ25歳のシーモアを、マカラーニャ寺院の僧官長に推挙したのはブラスカである。
また、ジスカル老師の病死後。シーモアを老師に推挙したのもブラスカだった。
ジスカルの志しを継ぐのは、シーモアが最適だと考えたからだ。
そのこともあり、彼はブラスカに並々ならぬ恩義を感じていた。
「此方こそ御無沙汰しております。シーモア老師」
ブラスカとアーロンも祈りを返す。
「アヤ、それに皆さんも、久しぶりです」
穏やかな笑みで一同を見渡すと、ユウナとリュックは頬を赤く染める。
「シーモア・・・お元気になられて本当に良かったわ」
アヤの気遣いに、シーモアは感謝の眼差しを向ける。
「・・・皆さんには心配をかけてしましたね」
「本当に残念です。ジスカル老師には、まだまだご指導していただきたいことが、沢山あった・・」
昨年この世を去ったジスカルは、「人」と「グアド族」との友好に尽力した。それは「亜人種」でありながら、一族の掟を破り「人」を妻として娶ったからと言われてる。
が、彼は非常に慈悲深い人物で、そのことがなくともそうしたであろう。
「有難うございます・・そう言っていただけて、父も喜んでいると思います」
「今日は、シーモア老師もブリッツの観戦ですか?」
ルールーが話しかけた。
「えぇ。私も彼女も、ジェクト選手の大ファンですから」
「フィアンセもいらっしゃているのですか?」
ひと月ほど前、シーモアは父と同じく「人」と婚約をした。ベベル寺院で働く女官だ。
「これから迎えに行くところです。アーロン殿、チャップをお借りしてばかりで申し訳ありません」
リュックは、シーモアの護衛として辺りに気を配っているチャップに、こっそり手を振る。
チャップは、仕方ないなと笑みを漏らす。
「いえ。チャップは私の部下の中でも一番の手足れ。どうぞ、安心して警護をお任せください」
アーロンの言葉に、満足気に頷く。
「ブラスカ殿がシンを倒し永遠のナギ節が訪れたとはいえ、まだ迷う魂は多い。僧兵たちのおかげで、安全に旅が出来ます。有難う」
「それが我等が勤めです」
改めて自分の任務に責任と誇りを感じ、アーロンは襟を正した。
「シーモア・・・どうか、お幸せに」
「勿論です、アヤ・・」
シーモアと妻の為に、苦悩しながらも掟と闘い一族を説得していたジスカルを、アヤはブラスカと共に長い間見てきた。
だからこそ、彼の幸せを願わずにいられなかった。
「父が、私と母を守ってくれたように・・私も、私の家族を守っていきます」
「うん・・」
「そろそろ行かなくては。皆さん御機嫌よう」
晴れやかな顔でシーモアは歩いていった。
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