47話 アナタの腕の中でみた夢
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「そうだ」
アヤはアーロンを見上げ、にっこりと笑った。
「アーロン、赤ちゃん抱っこして」
アーロンはアヤの笑顔にたじろぐ。
「いや・・俺は」
「今なら眠ってるし、怖がってないで抱っこしてあげてよ」
2人のやりとりを聞いていたユウナが、不思議そうな顔をする。
「アーロンさん、赤ちゃん・・・怖いんですか?」
「意外~」
「俺が抱くと・・壊してしまいそうでな・・・」
軽い気持ちで言ったリュックとユウナは、アーロンのまじめな返答に顔を見合わせる。
そういえばーー
ルールーはイナミが生まれた時のことを思いだした。
アーロンとアヤはビサイド島を訪れて祝福してくれた。
確かにその際、アーロンはイナミを1度も抱かなかった。
その時はさして気に留めなかったのだが
ブラスカは、イナミを見つめるアーロンに一歩近づいた。
「アーロン・・・赤ん坊は君が思っているほど、弱くはないよ」
諭すように言うが、アーロンはまだ躊躇う。
「あ・・・・」
イナミが目を覚ました。アヤが優しく微笑むと、口の端に涎をためながらイナミは笑う。
「笑ってる」
リュックが指先でぷくぷくしたほっぺたをつつく。
「随分、表情が豊かになったのよ。話しかけると喜ぶわ」
「そうなんだ」
母親の声がわかるのか、イナミは笑いながら手足を動かし始める。
アヤはイナミの身体を支えたままアーロンの掌を握ると、イナミに近づけた。
「おい・・」
大丈夫よと、アヤは笑う。
少し力を入れれば簡単に折れてしまいそうな小さな指が、アーロンの節くれ立った指をキュッと握り締める。
その指先を、アーロンは見つめる。
なぜだろう
こうしていると、身体の奥底から穏やかで、暖かいものが湧き上がってくる。
そして、このあまりにも幼い生を護らなくてはと、強く思う。
「こんなに小さな指にも、ちゃんと爪があるのだな・・・」
「うん・・」
不器用に微笑むアーロンを、イナミはキラキラと瞳を輝かせて見上げている。
「ね・・」
再度促され、恐る恐るイナミを抱いた。
父親のワッカと同じ大きな掌に抱かれ、「あ~う~」とご機嫌だ。
「イナミ、良かったわね。アーロンさんに抱っこしてもらえて」
「あうぁ~」
ルールーが顔を覗き込むと、口を大きく開けて満面の笑みを浮かべる。
口の中に、まだ乳歯も生えていない歯茎が見えた。
「この子だって、少しづつ大人になるのよ。だから・・・私たちも焦らずにいきましょう」
「あぁ・・そうだな・・・」
腕の中で笑うイナミを、アーロンは眩しそうに見つめた。
その様子を見ていたルールーが、徐に口を開く。
「アヤさん・・・もしかして・・・・・」
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