47話 アナタの腕の中でみた夢
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「久しぶりだね、2人でルカに来るの」
ルカの街が一望できる高台で、アヤは大きく伸びをした。
「あぁ・・・」
隣にいるアーロンも、懐かしそうに目を細める。
ブラスカが<シン>を倒してから、10年の歳月が流れていた。
10年前。召喚士であるブラスカは、3人のガードと供に究極召喚の旅に出た。
1年の旅路の果てにブラスカは究極召喚を得て、<シン>を倒した。
千年前にこの世界に現れた人々の罪の証である<シン>は、千年の時を架けた罪の償いによって消え去ったのである。
永遠のナギ節が訪れ、アーロンとアヤはスピラ中から祝福され結婚した。
結婚後は、毎日アーロンの帰りを待つ、平穏で幸せな日々を過ごしている。
一方アーロンはというと、ベベル寺院で軍団長を務めていた。
スピラには各寺院に1個師団が配置され、それを4つの地域に分けた。
地域ごとを一軍団とし、4つの軍団を束ねているのが、軍団統括長のアーロンである。
シンは世界から消えたが、魔物が世界から消えることはなかった。
10年前より軍の規模は縮小されたが、人々を魔物から守ることに変わりはなかった。
其の為、老師と同等の立場であるアーロンは多忙を極めている。
立場上仕方ないとはいえ、休日も思うようにならないアーロンに、アヤも彼の健康を気にしていた。
今日もルカを訪れるために、三ヶ月前からスケジュールを調整していたのである。
ひとしきり景色を楽しんだ後、高台を降りようと階段に足を掛ける。
「アヤ」
先に降り始めたアーロンが、手を差し出す。
アヤは微かに笑いを漏らし、手をのせた。
華やかで騒がしいルカの街並みを、アヤを庇うようにゆっくり歩く。
「ジェクトも引退か・・・」
街中に貼られている試合のポスターを眺めながら、呟いた。
「うん・・・」
半年前、ジェクトがいきなりベベルにある2人の住まいを訪ねてきた。
アーロンと2人、朝まで飲み明かしたのだが明け方アーロンが引き留めるのも聞かず、ザナルカンドに戻って行った。
帰り際、扉に手をかけたジェクトは
「アーロン」
「なんだ?」
改まった口調に、アーロンは眉を顰める。
「決めたぜ」
「・・・そうか」
短い言葉に、アーロンもひと言返事を返した。
翌朝、アヤが黙って帰ってしまったジェクトに文句言っていると、アーロンが教えた。
「何を決めたの?」
「そのうちにわかるさ」
そう言って、それ以上は答えなかった。
数日後、TVや新聞がジェクトの引退を報道したが、現役を引退した後のことは、まだ何も発表していない。
ジェクトには17歳になる愛息、ティーダがいる。
彼と一緒にザナルカンド・エイブスでプレーすることを望んだが、ティーダは意に反して、ブリッツ界1の弱小チームビサイド・オーラカに入団してしまった。
ジェクトの怒りは、ガガゼト山を揺るがすのではないかと思うほど凄まじかった。
一方ティーダは、オーラカの本拠地であるビサイド島に居を移し、万年最下位のチームを優勝候補にまで押し上げた。
おまけに、アーロンの師父でありビサイド寺院の僧官長ブラスカの愛娘と婚約し、挙式間近だ。
ジェクトは引退した後、オーラカの監督に就任するのではないかと、まことしやかに囁かれている。
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