45話 千年前の史実
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飛空挺がナギ平原を離れると、皆も休もうと、ソファーを立ち上がる。
が、キマリはユウナを呼び止めた。
「ユウナ、話しておきたい事がある」
「どうしたの?キマリ」
いつもと違うキマリの様子に、ユウナは不安気に彼を見上げる。
ティーダたちも、何事かとキマリを見た。
キマリは一度目を閉じた後、ユウナを見据えて口を開いた。
「アーロンは、死人だ」
「えーー」
ユウナは目を見開いた。
「十年前、角を折られガガゼトを降りたキマリは、ナギ平原で血まみれの男を助けた。
その男は、虫の息でキマリにこう言った。
『召喚士ブラスカの娘を、ビサイド島へ連れて行って欲しい』と」
『これは、死に逝く者の願いだ』
「それは、ブラスカの願いなのだろう。だが、それをキマリに伝えたのは、アーロンだ」
「・・・」
「ユウナ!」
思わずよろめいたユウナを、ティーダが後ろから抱き止めた。
ティーダの胸にもたれて、彼を見上げる。
「キミは・・知ってたの?」
「うん・・」
「アヤさんは?」
「・・気づいてるだろうって、アーロンが」
「なんで・・なんで!?シンを倒したら、永遠のナギ節が来るのに!」
リュックが、キマリにすがりついた。
「この旅で、ユウナの身を誰よりも案じていたのは、アーロンだ。キマリは、それを言いたかった」
「うん・・ありがとう、キマリ。教えてくれて」
ルカでアーロンと際会した時から。
いや、自分がアヤを呼んで欲しいと頼んだ時から。
キマリは、アーロンがこの世に居ない人間だと、知っていたのだ。
その苦しみを思えば、何故今まで黙っていたのかとーー
責めることは、出来なかった。
ユウナたちが部屋に入り、通路にはルールーとワッカだけになった。
「別に・・あんな旅行公司じゃなくても。壁、厚いから聞こえねえし」
ルールーの後ろで、ワッカがポツリと言った。
「十年前」
「あん?」
「アーロンさんが、あの子の元へ行く時、どうしてアヤさんを置いていったかわからないけど。
あの場所で、二人の間に何かあったのよ。
だからきっと、あの場所じゃないと意味がないのよ」
詳しい事情はわからない。
ただひとつわかる事は
二人の別れが近いということだけ
「あんたは、どうするの?」
「どうって?」
突然、意味のわからないことを言われ、ワッカは自分に背を向けているルールーを見る。
「部屋へ来ない?って言ったら・・あんたはどうするの?」
「ーーい、いいのか?」
思わず聞き返すと、ルールーは耳まで赤く染める。
「何度も、言わせないでよ」
ルールーの呟きに、ワッカも心を決める。
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