45話 千年前の史実
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その時、キャビンの入り口から声が掛かる。
「皆さん、賑やかですね。よかったら、私も仲間に入れて下さい」
振り返ると、リンが立っていた。
「どうぞ、リンさん」
「ありがとうございます。お礼に、とっておきの話をしましょう」
リンは、ソファーに腰を下ろした。
「とっておき?」
「えぇ。ユウナさんには、喜んでいただけると思います。貴女の、ご両親の話です」
ユウナの目が輝いた。
「ユウナのお父さん、エボンの僧なのに、アルベドと結婚したんでしょ?」
シドから訊いているのか、リュックが早速尋ねる。
「はい。ブラスカさんは、アルベドとエボンの友好を願っていました。
その為、当時のホームを、しばしば訪れていました」
「んで、シドの妹と知り合った?」
「シエラだ」
「えっ?」
アーロンが、横から口を挿む。
「シエラさん。ユウナのお母さんの名前よ」
「アーロンとアヤは、知ってんのか?」
一度も話題に出た事がないため、ティーダは知らないと思っていた。
「私は、短い間だったけど・・アーロンはよく知っているわ」
ブラスカとアーロンの経緯を知らないワッカたちは、思わず彼を見る。
「そうなんですか?」
「あぁ」
「じゃあ、お二人が駆け落ち同然に、結婚したことも?」
少し楽しそうに、リンが話を振った。
「あぁ、よく知っている。ブラスカは一度言い出したら、誰の制止も訊かん頑固者だと云うこともな」
「えぇ・・そうでしたね」
懐かそうに、リンは頷く。
「誰かさんに、そっくりだな」
ワッカが呟けば
「ホントね」
ルールーが、即座に答えた。
「何?」
「何でもございません、召喚士さま」
明らかに自分のことだとわかる言い方に、ユウナは頬を膨らませた。
「は~~やるなあ。あ!おっさん、怒ったろ!」
掌で膝を叩き、ティーダが言う。
「あの性格ですからね」
リンは笑う。口は悪いが、好かれているようだ。
「即座に、シエラさんと縁を切ったとか。
ですが、ユウナさんが生まれてから、仲直りすることになりましてね」
「ブラスカも、とても喜んでいた」
翳りのある、微笑みをする。
「はい・・それで、シエラさんがひとりで、ホームに向かいました。しかし、その船が・・」
「ーーシン?」
言葉を濁すリンの代わりに、ティーダが呟いた。
「・・ブラスカが召喚士になったのは、その事件がきっかけだ」
「みんな、シンのせいか・・・」
口を噤んで、テーブルに視線を落とした。
その中で、リンはティーダを正面から見据えた。
「終わらせて、下さるのでしょう?」
リンの問い掛けに、ティーダは強い視線を返した。
「あぁ、ぶっ倒す」
「健闘を、お祈りしております」
頭を下げた後、窓の外に目をやった。
空は、いつの間にか、茜色に染まり始めている。
「おや、話し込んでいるうちに、すっかり陽が傾いてしまいましたね。
では、私は部屋で休ませていただきましょう」
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