45話 千年前の史実
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「そっちは、うまくいったっスか?」
ルールーと、視線を合わせる。
彼女は、悲しみを隠して微笑んだ。
「ええ・・」
「あのね、あのね。ルールーったらさ~」
リュックが、ルールーの悲しさを消すように、はしゃいだ声を出す。
「リュック、よけいなことーー」
「何々?なんスか?」
大袈裟な仕草で、リュックに顔を寄せる。
「ルールーったらね、ワッカといい雰囲気だったんだよ!ね~、ユウナん!」
「ほんとほんと!私たち、お邪魔だったくらい」
首を傾げてユウナを見ると、彼女も満面の笑みで、その時のことを語った。
「もう、ユウナまで!」
姦しい妹たちを、ルールーは軽く睨む。
そんな彼女にお構い無しに、ティーダはワッカを冷やかす。
「やるじゃないッスか!ワッカ!」
「へっ!?あ、まあそのーーなんだ。あはははは」
ティーダの笑顔が、チャップと重なる。
「もう、勝手に言ってなさい!」
次々に冷やかされ、顔を赤くしたルールーは、立ち上がると窓際に立っているキマリの傍に避難した。
窓の外を見ながら、火照った頬に手を当てる。
「みんな、好き勝手言って」
そのルールーの目に、キマリの揺れる尻尾が映る。
「また楽しんでる」
ルールーに睨まれたキマリは、窓の外に目をやったまま口を開いた。
「以前のワッカは、とても弱かった。アルベドを憎むことで、チャップが死んだ悲しみを誤魔化していた。
だが、今は違う。自分の弱さも過ちも、全て認めて」
隣りに立つ、彼と同じように弱く、そして同じように強くなった、美しい女を見る。
「お前が、チャップを好きなことも承知で。気持ちを打ち明けるだろう」
「キマリ・・」
「どう返事をしようと、お前の自由だ」
そう言うと、窓の外に視軸を戻す。
雲がわずかに浮かぶ、
白い雲が美しく見えるのは、きっとこの空のせいだ。
ルールーは、笑いさざめいている、皆を見る。
「ねえ、キマリ。信じられる?私たちの手で、終わらないナギ節を作り出そうなんてね。
アイツが言わなきゃ、誰も思いつかなかったかもね。
シンがいないスピラーー想像出来なくて、もどかしいわ。
もう私たちは、ユウナの傍に、必要ないのかもね」
自分の気持ちを一番にしても、いいのかもしれない。
ルールーの視線は、いつの間にかワッカだけを見ていた。
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