44話 真の強さ
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夜が明け、飛空挺の迎えを待つ為に、遺跡の外へ出た。
冷たい海風に晒され、水平線に虹のように架かる、朝焼けの橙色を見詰める。
「そういえば。ジスカルのこと、言わなかったな」
後ろに立っている、アーロンを振り返る。
「今更言っても、母親が悲しむだけだからな」
「・・そうッスね」
父親が実子を畏怖していたとーー
告げたところで、悲しみが増すだけ。
アーロンの気づかいに、ティーダは微笑んだ。
「ジェクトの像も、ザナルカンド遺跡のどこかにある筈だーー探すか?」
シーモアの母親の話しで、思い出したようにアーロンは言った。
「その像に、オヤジの魂はーーない」
「あぁ。シンに、なってしまったからな。あいつの魂は、あの中だーー」
空を見上げた。
瑠璃色の空は、わずかな間に、彩りを増していく。
風に流れた雲が、遥か彼方にうっすら白く見える。
「魂のないオヤジの背中なんて、捜したって意味ないッスよ」
海風に金の髪をそよがせて、ティーダは言った。
アーロンの銀髪まじりの黒髪も、ゆったりと波打っている。
「フッーーそうだな」
そう言って微かに笑うアーロンの横顔が、急に、年を取ったように見えた。
オヤジーー魂だけの存在になっても
シンの中で、年を取っているんだろうか
無性に会いたくなった。
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