44話 真の強さ
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「喩え死人でも、アヤにひと目、逢おうと思えば出来ただろう。
しかし、逢いに行けなかったーー怖かった。アヤに・・拒絶されることが」
ティーダは、アーロンと同じく、胡坐をかいて彼と向かい合った。
「ザナルカンドを旅立ったあの日ーーお前に言ったな。『覚悟を決めろ』と」
強い視線を受け止め、ティーダは頷いた。
呑み込まれる直前。
アーロンの後ろに、青い月のように
シンが浮かんでいた。
「あれは、お前にだけ言ったのではない。俺自身にも、言ったのだ」
俯き加減に口角を上げ、今更ながら、自分の弱さを嘲笑う。
「フッ・・蔑んでくれ。あれだけ、偉そうに説教をしておいて、俺はーー痴れ者だな」
旅の途中で、助言したことを言っているのだろう。
ティーダは、アーロンの眼を真っ直ぐ見る。
「俺ーーあんたのこと、そんは風に思えないよ。
俺が生きてこれたのは、アーロンのおかげだし。アーロンが居なかったら、ユウナや、みんなと出逢えなかった。感謝してるんだ。ほんとにーー」
言いながら、照れくさくなったのか
頭の後ろに手をやった。
「アヤは・・許してくれた?」
「ーーあぁ」
アーロンも、ティーダの眼を真っ直ぐに見る。
「じゃあ、俺が言うことはないッス」
「淋しくなかったかと、訊いたな」
「えっ?あ、あぁ」
最初の問い掛けを、繰り返した。
「淋しかったが、淋しくなかったな」
「なんだよ、それ」
意味がわからないと、ティーダは笑った。
「お前が、いたからな」
自分に、アーロンが必要だったように
彼にも、自分が必要だった。
長い時を共に歩んで来た。
父親のように愛情深いくせに
誰よりも、不器用な男。
何もかも、わかったような顔をして
彼も悩み、苦しんでいた。
自分と、ちっとも変わらない。
それがとてもーー嬉しい
「消えるのか?」
現在(いま)に引き戻された。
・・・・
自分がどういう存在なのか、瞬時に思い出す。
「お前の父は、スピラの為だけに祈り子になったんじゃない」
「え・・?」
「お前を、護る為だ」
だからこそーーシンから解き放ってやりたい
「お前は、ユウナの為に、シンを倒すのだろう」
「ーーうん」
「ーー親子だな」
前は、オヤジに似てるって言われると、腹が立ってしょうがなかった。
でも今は…
「もう、寝ろ」
「・・うん」
ーー嫌じゃない
.
