44話 真の強さ
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ユウナは、アヤと一緒にベッドに入った。
しかし、目が冴えてなかなか寝付けない。
「ねえ・・アヤさん」
ユウナは、天井を見たまま話し掛ける。
「ん?何・・」
アヤも寝つけないのか、すぐに返事が返ってきた。
ユウナは、躊躇いがちに言う。
「あのね、父さんたちとの旅が、終わってからのこと、聞いてもいい?」
「・・うん」
十年も前のことなのに、昨日のことのように鮮明だった。
「ナギ節がきて、ベベルでずっと、アーロンの帰りを待っていた。
寺院やみんなから、二人のことを、何度も聞かれたわ。
でも、本当のことは言えなかった。
まして、復活したシンの中にジェクトがいるかもしれないなんてーー」
苦しみを抱えたまま、寺院で孤独に過ごしていた日々。
「でも、マイカ総老師は何も尋ねてこなかった」
「知っていたからかな?」
違うと、アヤは首を振る。
「あの人は、召喚士がシンを倒せばそれで良かったのよ。そんな時、シーモアと際会したの」
ユウナは、アヤの横顔を見つめる。
「私は、シーモアと会うことで、アーロンが戻らない淋しさや不安を、埋めようとしたの」
アヤも、ユウナを見る。
「シーモアは、苦しんでいた。
母親を、死に追いやった父親への憎しみとーー
その父親を愛し、愛されたいと願う気持ち。その狭間で、彼は揺れていた」
また、天井に視軸を戻した。
その頃の自分やシーモアを、天井に映し出す。
「でも、彼は憎しみに飲み込まれて、ジスカルを殺してしまった」
ジスカルの残した、スフィアを思い出した。
異界に現れた、哀れな姿と共に
「その頃の私はーー自分の淋しさを埋めることに精一杯で。
心の、もっともっと奥深くで足掻いていた、本当の苦しみまで・・気づかなかった」
眼を閉じて、闇をつくった。
「気づいた時、シーモアの瞳の奥は、全て闇に染まっていてーー怖くなって、彼から逃げたの」
闇に、キノックが浮かんだ。
「そんな時、討伐隊に参加するようになってーーシーモアとは会わなくなった」
アヤは、闇から、隣りにいる光に視軸を移す。
「私が、ユウナみたいにもっと強く、優しかったらーー違ったかもしれない」
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