44話 真の強さ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その日の夜ーー
夕食もすみ、思い思いの場所で、皆はくつろいでいた。
アヤとユウナは、なかなかブリッジを離れられないシドとアニキの為に、夜食を用意した。
山盛りのサンドイッチと珈琲の入ったポットを持って、二人はキッチンを出る。
ブリッジに向かって歩きながら、アヤは、ユウナのビサイドでの暮らしを聞いていた。
兄のように、可愛がってくれたワッカとチャップのこと。
姉のように、叱ってくれたルールーのこと。
召喚士になると言った時、二人に猛反対されたことーー
「良かった。ユウナは、独りじゃなかったんだね」
昔話を聞いたアヤが、安心したように呟いた。
「うん。ほんとの、兄さんと姉さんだと思ってる」
ユウナは、アヤを一瞥する。
「あのね、アヤさん・・」
この旅を通して知った、彼女の置かれた境遇、想い。
でももっと、心の奥底の想いが知りたい。
自分は、もう子供じゃない。
「ねえ、今夜は久しぶりに、一緒に寝ようか?」
「えっ?う、うん」
急なアヤの提案に、戸惑いながら頷いた。
ブリッジの前に着くと、中からリンが出て来る。
リンは二人に気づくと、微笑んだ。
「これはお揃いで。シドさんにですか?」
皿の上の、サンドイッチに目を留める。
「はい。シドさんとアニキさんに、お夜食です」
「そうですか、喜びますよ」
「はい!」
ユウナに笑顔を向けていたリンが、真面目な顔になる。
「あ、アヤさん」
ブリッジに向かおうとしたアヤを、呼び止めた。
何か言いた気な彼に気づいたアヤは
「ユウナ、ここで待ってるわ。いってらっしゃい」
「はい」
そう言われ、ユウナはひとりでブリッジに入った。
「シドさん、お夜食です」
「おぉっ!気が利くな」
ユウナがブリッジに入ると、シドが満面の笑みで迎える。
操縦席に座りっぱなしのリュックの兄にも、サンドイッチを渡す。
「はい、アニキさん」
「アリ・・ガトウ」
片言で礼を言うアニキに、ユウナは疑問に思っていたことを尋ねてみる。
「アニキさんって、リュックのお兄さんだからアニキなの?
それとも、名前がアニキなの?」
ユウナに見つめられ、アニキは真っ赤になり口を噤んだ。
「あっはっは!そいつまだ、カタコトしかしゃべれねえんだ!」
後ろで、サンドイッチを頬張りながら、シドが笑った。
「そうなんだ。お話し出来るといいのに」
ユウナは残念そうに、操縦席を離れた。
.
