43話 残像
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『着いたぜ、アーロン』
シドの声に、ティーダとアーロンは、塔乗口から海へ飛び込んだ。
「ぶはっ!」
海面に顔を出したティーダは、すぐに泳ぎはじめる。
その少し後ろから、アーロンがついて行く。
「あれがそうか?」
海面から突き出ている遺跡の残骸を正面に捉え、尋ねる。
「うん」
海水の温度が低いせいか、ティーダは、言葉少なに手足を動かす。
遺跡に足を着けると、ティーダは犬のように体を振った。
「荷物は大丈夫か?」
アーロンの問いに、背負っていたバッグを確認する。
中には、食料と燃料が入っていた。
「俺の心配は?」
自分より荷の心配をするアーロンに、拗ねた顔を向ける。
「大丈夫そうだが?お前は、腹が減ると五月蝿いからな」
子供扱いされ、ますますむくれた。
用意した松明を灯し、遺跡となった寺院の内部を歩く。
「え~と・・・」
時々立ち止まり、記憶を辿る。
前を歩くティーダを、アーロンはどこか感慨深く見つめていた。
「確か、ここーーよっ!と」
ティーダは、突き当たりの扉を開けた。
軋みながら開いた扉の先は。
スピラに来て、寒さに震えながら始めて眠った場所だった。
懐かしそうに中を見渡し、部屋の中央へ進んで行く。
「ここで、リュックに襲われたんだ」
「リュックにか?」
アーロンは、目を見開いた。
「良かったじゃあないか」
「良くない!」
微かに笑うアーロンに、ティーダは剥きになって答えた。
「ここは、広間だな。この奥に、祈り子の間がある筈だ。行くぞ」
アーロンは、更に奥へ進んだ。
朽ちた階段を上り、控え間らしき場所へ出る。
「なあ、アーロン。本当に、こんな所に誰かいるのか?」
「あぁ、いる筈だ。祈り子がな」
「えっ!?」
驚くティーダに構わず、アーロンは、祈り子の間の扉を開けた。
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