6話 傷痕
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ひと息する暇もなく、石段を登り続けた。
ティーダは、斜め前を登るワッカに訊ねた。
「あのさ、『シンのコケラ』って、なに?」
ワッカのかわりに、ルールーが答える。
「シンの体から離れて、置き去りにされた魔物のこと」
「放っておくと、シンが戻ってくる。さっさと退治しちまわないとな」
ワッカはティーダを見ながら、急に話題を変えた。
「そういや、ザナルカンドには、魔物はいるのか?」
「あまりいない。たまに出ると、大事件だな。あーーザナルカンドのこと、なんて信じてないくせに」
ティーダは、ふてくされ気味に言った。
「考えたんだけどよ」
ワッカは真面目な顔をした。
「シンにやられた人間は、死ぬんじゃなくて、シンの力で千年前だか後だかの世界に運ばれるのかなって。
んで、ある日ひょっこり帰ってきたりしてさ」
ルールーは立ち止まっていたワッカを追い越し、そのまま振り向かずに言った。
「いつもながら、感心するわね」
言葉とは裏腹に、声は冷たかった。
「あ?なんだよ」
「自分を騙す方法を、次から次へとよく考えつくから。感心するって言ったの。
シンは、チャップをどこにも運ばなかった。
彼を押しつぶして、ジョゼの海岸に置き去りにした。
あんたの弟は、二度と帰ってこない」
険悪な空気を、ユウナはどうすることも出来ずに、ただうろたえた。
ティーダは今ひとつ事情がのみこめず、見ているしかなかった。
「あんたがどんなに望んでも、誰もチャップの代わりにはなれない」
ルールーの言葉に、ワッカは石段に座り込んだ。
「ジェクト様の代わりもいないし、ブラスカ様の代わりだって、どこにもいない」
ワッカを振り向いた。
「そんな考え方・・悲しくなるだけよ」
そういうと、また石段を登る。キマリとユウナが後を追った。
「俺だって、弟の代わりなんて出来ねえんだよ」
苦しそうにワッカは呻いた。
たったひとりの肉親の死を、『はいそうですか』と、簡単に割り切れれば苦労はしない。
遺体を見ても、この世にはいないと、どんなに言い聞かせても、すぐには納得出来ないのが肉親の情と言うものだろう。
「まぁ、いろいろあってな…気にすんな」
立ちすくむティーダに、ワッカは努めて明るく言った。
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