43話 残像
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「ン~やっぱ、怒られそうだから、やめとくッス」
「怒らない、約束する!」
頭を掻くティーダの腕を掴んで、真剣な眼差しで見上げる。
「ン~、じゃあ、もう一回言うッス」
アヤは、コクコクと頷いた。
「十年間、ずっとアーロンと暮らしててさ・・アーロンのこと、オヤジみたいに思ってたんだ。ほら、怒るとすっゲー怖いだろ?」
「・・・・うん、怖い」
アヤは真剣な顔で頷いた。
「俺の母さんさ、アヤくらいの年で死んだんだ。
アーロンが今、オヤジがいなくなった時の年だろ。だからーー」
ティーダは頭の後ろに手を当てて、俯いた。
「二人といると、オヤジや母さんと一緒にいるみたいでさ・・嬉しかったんだ」
「・・・」
何も言わないアヤを、恐る恐る見る。
「・・・怒った?」
じっとティーダを見つめるアヤは、嬉しそうに口元を綻ばせる。
「嬉しい」
「ほんと?」
「うん。私もアーロンも、家族がいないから・・
そんな風に思ってくれるのは、とても嬉しいわ」
『これから、家族を増やせばいい』
喉元まで、出掛かった。
でもそれは、叶わない夢なんだ。
だって、アーロンはーー
ティーダは、こんな話題を振ってしまったことを、後悔した。
「これで、娘と息子が出来たのね」
「娘?」
アヤは、珈琲を煎れはじめる。
蒸らされた豆が、芳ばしい香りを漂わせる。
「ユウナよ」
「あぁ・・」
ティーダは納得した。
「アーロンは、ユウナが生まれた時から、知ってるからーー
ユウナの結婚相手は大変ね。あんな怖い父親代わりがいて」
楽し気に見えるのは、気のせいだろうか。
「なんで・・そんなに楽しそうに、俺を見るッスか?」
「どうしてかな~」
フフフと笑いながら、ガラスポットにおちた珈琲を、カップに注いだ。
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