43話 残像
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【届かぬ想い】
ベベルを後にし、飛空挺へ戻った。
戻ったはいいが、シンが現れるまで、これといってする事もなく、
ティーダたちは時間を持て余していた。
「暇ッスね~」
ティーダがソファーに座り、外を眺めながらボヤいた。
「あぁ・・作戦たてたのはいいけどよ。シンが現れなきゃ、出番ねえしな」
「そうだね~」
頬ずえをついたリュックが、相槌を打つ。
「コケラで、引き寄せるわけにもいかないしね」
海の中に潜られては、探しようがない。現れないシンに、覇気が下がる。
「いっぺん、ビサイドへ戻るか?」
ワッカに視線が集まる。
「いや、もう、反逆者じゃねえんだし。この船なら、すぐだろ?」
皆の思案顔の中、ユウナが口を開く。
「でも、シンが現れてからビサイドを出発してたら間に合わない。
見失ってしまったら、次はいつになるかわからないし。それにーー
もう、シンの被害を出したくないの」
もう、ジェクトに誰も殺して欲しくない
シンがジェクトだとわかった以上、それを見る自分たちも辛い
ましてや、ティーダに今以上、辛い思いをして欲しくない
そんな想いがあった。
「・・珈琲でも、煎れるわ。ティーダ、手伝ってくれる?」
アヤは立ち上がる。
飛空挺のキッチンは、まだよく勝手がわからない。
機械を使い慣れているティーダは、頼りになった。
「了解ッス」
ティーダが立ち上がると
「あ、私もーー」
「ねえ、ユウナ」
後に続こうとしたユウナを、ルールーが呼び止めた。
「何?ルールー」
「シンを待っている間に、行きたい所があるの」
「行きたい所?」
キッチンで湯を沸かす間、ティーダとアヤは、取り留めのない会話をしていた。
父親を殺さなければならない彼に、何か言葉を掛けたい。
でも、口先だけの言葉など、喜ばないだろうか。
そんなことを考えていたら、いつの間にか黙り込んでいた。
「ーー、アヤ」
「えっ?な、何?」
ボンヤリしていたアヤは、慌てて返事をする。
湯沸かしのポットからは、湯気が出始めている。
「やっぱり、怒った?」
眉を下げて、すまなそうに自分を覗き込むティーダに、アヤは焦った。
「あ、えっと・・ごめんなさい、聞いてなかった・・もう一回言ってくれる」
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