42話 巨刹の主
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ティーダとユウナは、控えの間でアーロンたちと合流した。
そこへ、シェリンダが息を切らして走って来た。
「あの、マイカ総老師が、どこにもいらっしゃらないんです」
「それ、もういいんだ」
ティーダが断ると、シェリンダは残念な顔をする。
「・・そうですか」
「そうだ!」
突然、リュックが大声を上げた。
「歌のこと、頼んでもいい!?」
思い出したように、ティーダも相槌を打つ。
「あぁ!そうそう!」
「えっとね、出来るだけ、大勢の人に伝えて欲しいんだけど」
リュックは、シェリンダの前に立った。
「はい、何でしょう?」
「空を飛ぶ船が、祈りの唄を歌う。
それが聞こえたら、みんなも一緒に歌って下さい」
ひとつひとつ、言葉を選びながら言った。
リュックの丁寧語に驚きつつ、ワッカも加勢する。
「スピラ中に伝えてくれ!!」
シェリンダは、首を傾げる。
「意味がーーわかりません」
「何でもいいの!このまま伝えて!!」
結局、いつものリュックに戻ってしまった。
「『空を飛ぶ船が、祈りの唄を歌う。それが聞こえたら、みんなも一緒に歌って下さい』・・ですね」
「それで、シンを倒せるかもしれないんだ」
意味もわからずに反芻したが、ティーダの説明にシェリンダの顔が輝く。
「ほんとですか!?」
「はい!」
ユウナの即答に、彼女は高揚する。
「すごいです!任せて下さい!必ず、スピラ中に伝えます!」
彼女は、また走って行った。
「用はすんだ。行くぞ」
歩き出したアーロンに、皆は続いた。
「アーロン、これからどうするんだ?」
「どうもしない」
「えっ!?」
驚きに足が止まる。
「遣るベき事はやった。後は、シンが現れるのを待つだけだ」
アーロンは、ワッカを見る。
「ワッカ、シンはどれくらいの頻度で出没している?」
ワッカは頭の後ろに手を当て、思い出す。
「え~と・・何回だっけーーでも、ブラスカ様のナギ節が終わってシンが復活しても、しばらくは被害がなかった筈です」
「この十年、シンの被害が一番少ないと聞いています」
ルールーの補足に、アーロンは頷く。
キマリが腕を組み、首だけを向ける。
「ユウナが1年前、従召喚士になった頃から、シンの被害が増大した」
「それで、キノックがミヘン・セッションを強行したのよ。
シンの被害が目立つようになったから、審議が通り易かったみたい」
アヤは、悲し気に言う。
「もし成功すれば、総老師への足がかりにする。
失敗しても、表向き寺院は感知していないことになっているから、なんの痛手はないわ」
「権力争いか・・」
アヤの話に、アーロンは呆れ気味に呟いた。
「シェリンダも、言ってたわね。僧たちが、保身に走ってるって」
「マイカのヤツ。シンが究極召喚でしか倒せないのをわかっていて、何でシンの討伐作戦を決行したんだ!!
あの作戦で、何人死んだと思ってんだ!!!!」
怒りを爆発させるワッカに、ティーダは俯いた。
「ゴメンーー」
「あぁ、いや。ジェクトさんを責めてるわけじゃねえんだ。俺はーーわりぃ・・」
アーロンは、苦虫を噛み潰した顔をする。
「腐ってるな」
もう、威厳も尊厳も感じられない。
崇めていた自分たちが、あまりにも愚かだった。
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