42話 巨刹の主
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「エボン=ジュはね、昔、召喚士だった。あれほどの召喚士は、いない。
でも今は、ただ召喚を続けているだけの存在。
悪意も善意もなく。永遠の夢を、願っているだけの存在。永遠なんてーーないのにね」
悲しい瞳で、祈り子はティーダを見た。
「あぁ、俺たちが、終わらせるからな」
「うん。究極召喚でシンを倒しても、エボン=ジュは倒せない。
エボン=ジュは、究極召喚獣に乗り移って、それを新しいシンに作り変えてしまう」
「エボン=ジュが、乗り移る」
「そして、新しいシンに護られて・・エボン=ジュは召喚を続けるんだ」
だから、何度命を賭けて倒しても、シンは復活する。
それを、悟られないよう
『罪が消えれば シンは復活しない』
そう、教えとして説いた。
スピラを、絶望が覆わない為に。
そして、いつまでも手に入れられない、『希望』を与えた。
「永遠に・・か」
現在(いま)も、召喚されているのだろう。
夢のーーザナルカンドが
「でも、君たちが終わらせるから、永遠はーーない」
終わりが来る
「おう」
「エボン=ジュは、シンの体内にいる。究極召喚獣となった、キミのお父さんの中に。ねえ、ユウナ」
うなだれるティーダに気をとられていたユウナは、祈り子に名を呼ばれ、ハッとする。
「エボン=ジュと戦う時は、僕たちを召喚して欲しい。必ずーー」
その言葉を、ユウナは戦闘に協力したいという、申し出だと思った。
しかし、祈り子の覚悟は別のところにある。
ユウナもティーダも、それには気づかなかった。
「はい」
「それから、キミ」
ティーダは、顔を上げる。
「全てが終わったらーー僕たちは夢見ることを、やめる。僕たちの夢は、消える」
予想していたとはいえ、ハッキリ言葉にされるとショックは隠せない。
「うんーーあんたたち、長い間がんばったもんな。お疲れさん!」
ぎこちなく笑うティーダに、祈り子はすまなそうに続けた。
「ーーごめん。勝手なことばっかり言って」
そう言い残し、祈り子は消えた。
「何の話?」
祈り子が姿を消すと、ユウナは不思議な顔をする。
「何でもない!」
動揺を隠そうと、明るく振る舞う彼に、ユウナは益々怪訝な顔をした。
「そんな顔すんなよ。俺たち、シンを倒せるんだぞ!もっと、嬉しそうな顔しろよ」
「何か、隠してるよね」
ずっと キミを見てきた
キミだけを 見てきた
だから わかる
「隠してない」
ムキになって否定すると、出口へ歩き出す。
「本当に?」
ユウナの問い掛けに、ティーダは答えずに出て行った。
その後ろ姿を見送った後、ユウナは呟いた。
「ウソ・・下手だね」
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