41話 ベベルへ
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『いや、どうしてってーー』
口籠もるアーロンに、ジェクトはゴロリと横になった。
暗い洞窟の天井を眺めながら、ジェクトは語る。
『喩え、これから行くザナルカンドが、俺のいたザナルカンドじゃなくても。倒すさ』
『何故だ?』
アーロンは、ジェクトを凝視する。
『シンは、俺のいたザナルカンドにも現れるんだ。
どうやっていくのかは、わからねえ。
でも、それは確かだ。俺が、ここにいるんだからな』
『それが、どう関係するんだ?』
ジェクトは、体を横向きに変える。
肘で頭を支えると、ボリボリと脇腹を掻いた。
『シンは、人を殺すんだろう?だったら、ザナルカンドにいるアイツらがーーいつか、襲われるかもしれねえ』
『あ・・』
アーロンは、ジェクトの言わんとしていることを、理解した。
『だから、倒すぜ。シンを』
向こう向くジェクトの背中は、父親のそれだった。
「ーーアーロン」
肩を揺すられ、ハッと目を開けた。
「眠ってたの?」
夜着代わりのシャツを着て、アヤが立っていた。
「少しーー昔の夢をみていた」
「そう・・」
見下ろす瞳が、優しく笑っている。
アヤはベッドの端に腰を下ろし、濡れている髪をタオルで拭いた。
それを見ながら、アーロンがソファーから立ち上がる。
「アーロン」
「先に休んでいろ」
「うん・・」
アーロンが浴室に消えると、アヤはベッドに横になった。
やはり、疲れていたのだろう、睡魔が押し寄せてくる。
程良い硬さのベッドに身を委ね、すぐに深い眠りに落ちていった。
「フッ・・」
浴室から出てきたアーロンは、ベッドで丸まり寝息を立てているアヤを見て、微笑んだ。
「まるで、猫だな」
腰を下ろし、アヤの髪をそっと撫でる。
「ん・・」
何か、夢でも見ているのだろうか、身じろいだ。
アーロンは、さして広くないそのベッドに、アヤを起こさぬよう身を横たえた。
抱えるように頭の下に腕を廻し、抱き寄せる。
すると、安らかな寝息を間近で感じられ、思わずアヤの額に唇を寄せた。
自分にはない、温かな体温。
規則正しく刻まれる鼓動。
脈々と流れる血流が肌を彩り、彼女が生者であることを知らしめていた。
もう、この時が来ないかのように、アーロンはアヤを掻き抱いた。
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