41話 ベベルへ
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【ひとときの安らぎ】
シドは、ブリッジに並んだ顔を見渡して、ため息をついた。
「シケたツラだな」
ザナルカンド遺跡に着陸したコンチネンタル・サーカスに、ティーダたちは乗り込んだ。
そして、シドの前に浮かない顔を並べていた。
アーロンもアヤも、ワッカもルールーもリュックも、思案顔で俯いている。
キマリも、何事か考え込んでいる。
「お前たちよぉ、少し休めや。ろくに寝てねえんだろ?
ゆっくり休んで、これからどうするか。アタマしぼって考えな。思いつくまで、待ってやる」
それが、今はいちばん必要に思えた。
「シド、その前に紹介したい」
アーロンは踵を返すと、通路に出て行った。
そして、再びブリッジに入って来た彼の隣に立つ少女に気づき、シドは喜びに震えた。
ユウナはブリッジを見渡しながら、ゆっくりシドに近づいた。
立ち尽くす彼と、黙って見つめ合う。
ユウナの翠色の瞳。
紛れもない、アルベドの証し。
漸く会えた妹の忘れ形身に、シドは感懐も一入(ひとしお)だった。
ユウナが深く頭(こうベ)を垂れると、シドは背中を向けた。
それに気づいたユウナが悲しい顔をすると、リュックが傍へ来る。
「ホント、意地っ張りなんだから」
「え?」
驚くユウナに、リュックは耳打ちした。
「ユウナんに会えて、嬉しくて泣いてんだよ」
その言葉に、ユウナはシドの背中を見つめた。
シドはリュックの言葉を否定したかったが、泣き顔を見られたくない一心で、後ろを振り向かなかった。
そこへ、アヤが近づいた。
「ユウナ、とりあえず今は休みましょう。
シドさんとは、それからゆっくり話せばいいわ。
あなたのお母さんのこと、色々、聞かせてもらうといいわ」
「そうね、それがいいと思う」
ルールーも賛成する。
ユウナは、二人に頷いた。
「うん。シドさん、お母さんの話、聞かせて下さいね」
振り向かない背中に、ユウナは微笑んだ。
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