40話 夜明け
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「とんでもないこと・・しちゃったのかな・・」
静けさの中で、ユウナが呟いた。
そこには、ユウナレスカを倒した事による、新たな絶望があった。
ユウナは死ななくてすむ
だが、シンは倒せなくなった
ティーダは、興奮が治まらない皆の前に出ると、顔を見渡す。
「もっと、とんでもないことしよう」
「どんな?」
うわずった声で、リュックが訊いた。
「シンを倒す。究極召喚なしで。しかも、復活させないように」
リュックが、口を挟まないように続けた。
「どうやってって、訊くなよな」
「取り敢えず、此処を出よう。後の事は、それからだ」
アーロンの言葉に、黙って歩き出す。
皆が重い足取りで進む中、アヤはまだ、立ち尽くしていた。
「アヤさん?」
ユウナが振り返ると、皆の足も止まった。
「どうした、アヤ」
アーロンが近寄ると、背中を向けているアヤは、大粒の涙を床に落とした。
「ティ・・ダ」
「アヤ?」
ティーダが傍へ来ると、アヤは振り向いた。
「十年前。ユウナレスカが、祈り子を選べって言ったあの時。
私・・私・・ジェクトがなればいいってーー思った」
「えーー」
「ここは、ジェクトの言っていたザナルカンドじゃなかった。
あなたと、あなたのお母さんは待っていなかった。だからーー
ゴメン・・ゴメンナサイ・・私ーー自分のことばかり考えてーー」
「アヤ・・」
ティーダは、泣いている彼女の肩を、両手でそっと抱いた。
「オヤジ、言ってたろ?『キメた』って。オヤジが、自分で選んだんだ。アヤが、自分を責めることじゃないよ。だから、もう泣いちゃダメッスよ」
覗き込んでくる、空色の瞳。
十年前のジェクトと同じ、優しい眼差し。
「うん・・」
アヤは、昔のように返事をしながら、尚も溢れる涙を止められなかった。
「アーロン」
ティーダはニッと笑うと、右手を上げた。
ワケがわからずに、見ているだけの彼に、苦笑する。
「右手!」
「こう・・か?」
ぎこちなく上がる右手に、自分のそれを合わせた。
パンッと高い音が鳴る。
「選手交代!」
アヤの肩を押し、アーロンの腕に納める。
「先に行ってるっス。行こう、ユウナ」
「うん」
二人を残し、歩き出す。
ふたりきりになったアーロンは、アヤを強く抱き締めた。
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