1話 無頼
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ユニフォーム一式が入った大きなバッグを肩から下げ、やっぱり送って貰えば良かったと後悔しつつ、疲れた足で家路を急いでいた。
月明かりでも、家が確認出来る距離になり、ふと足を止めた。
いつも、自分が帰る頃には明かりが灯っているのに、今日は灯っていない。
「また、デッキにいんのかな」
確かめようと視線を上げれば、朱い影が月に浮かぶ。
10年前、オヤジが行方不明になり、1年後に母も逝った。
独り残された自分の前に突然現れた、オヤジの友人と名乗る男、アーロン。
他に身よりのない俺と、アーロンとの船の家での奇妙な共同生活も、10年になった。
「ただいま」
上に繋がる階段から、顔だけ覗かせて、声をかける。
「あぁ・・」
自分を迎えてくれる、唯一家族と呼べるひと。
「飲んでるっスか、飯は?」
「いらん、構うな」
「へ~い」
広い背中から、ぶっきらぼうな返事が返る。
いつもの事と、気にもせず家へ入る。
荷物を放り投げ、キッチンに向かう。
「あ~ハラ減った~」
ぼやきながら冷蔵庫を開け、中を物色する。
「ほんと、世話の焼けるオッサンだよ」
その顔は、妙に楽しそうだった。
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