37話 過去への旅 彷徨
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「広ぇ~な~」
額に手をかざして、ジェクトはナギ平原を見渡した。
「ここは、歴代の大召喚士様たちがシンと戦った場所なんだ。私も、ここで戦おうと思っている」
ブラスカは、少ない言葉の中に覚悟を込める。
アーロンはその覚悟に、拳を握りしめた。
ふと、四人の目に黄色いフワフワとした固まりが映った。
ジェクトは歓声を上げる。
「お~!チョコボの群れだ!アヤちゃん、撮ろうぜ」
そう言うと、スフィアを向け、撮影を始める。
グアドサラムで究極召喚の意味を知ってからも、ジェクトは変わらずに
いや、それ以上に賑やかだった。
それとは対象的に、アーロンは口数が減っていった。
今日もずっと、朝から押し黙ったままだ。
「や~ぱっ、ムサイ野郎よりも、可愛い女の子を撮った方が楽しいよな~」
ジェクトがスフィアを覗きながら、ニヤけた笑いをする。
ブラスカの顳が、ピクリと動く。
「ジェクト、その『ムサイ野郎』の中に、まさか私も入っているんじゃないだろうね?」
ジェクトは慌てて否定する。
「とんでもない、ショーカンシさま。ムサイのは、アーロンだけで充分です」
「おいーー」
アーロンの引きつった顔に、三人は声をあげて笑った。
ナギ平原の旅行公司が見えてくる。
「あの公司が、最後の宿だ。この平原から先は、もう村も街もない。ゆっくり休もう」
ブラスカが、公司の扉を開けると、中に青年がひとり、立っていた。
「お久しぶりです、ブラスカ様」
「何者ですか?ブラスカ様」
アーロンが前に出る。
「彼は、この旅行公司のオーナーだよ」
「リンと申します。お見知り置き下さい」
ブラスカが紹介すると、リンは軽く会釈した。
「公司のおかげで、随分助かっているよ。有難う」
「恐れいります。今日は、物資の補充に参ったところです。御入り用の物がありましたら、何なりとお申し付け下さい」
「随分と、わけぇオーナーだな。アーロンと同じくれぇか?」
横にいるアヤに話し掛ける。
だが、アヤはジェクトの声が耳に入っていないようだ。
じっと、リンを見つめている。
「お~い、アヤちゃん?」
「えっ!?」
ジェクトが顔を覗き込むと、アヤはやっと気づいた。
「何だよ、いい男なんで魅とれてたのか?」
「ち、違うよ」
意地悪く笑うジェクトに、顔を赤らめて慌てて否定する。
「ただ、金色の髪が綺麗だなって・・翠の瞳もーー」
なんでえ、やっぱり魅とれてたんじゃねえか
ジェクトは心の中で呟いた。
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