37話 過去への旅 彷徨
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ジスカルとの面談を終え、グアドサラムの宿屋にいった。
ジスカルの客と言うことで、個室が四つ、既に用意されていた。
その中の一番上等な部屋で、四人は話していた。
「命を賭けるって、どういうコトだよ!?答えろよ、ブラスカ!」
憤慨しているジェクトは、ブラスカに詰め寄った。
「ジェクト!止めないか!」
アーロンの制止も、耳に入らない。
アヤはジェクトの剣幕に、部屋の隅でおろおろするばかりだ。
「いいんだ、アーロン」
ブラスカはベッドに腰を下ろし、ジェクトを見上げる。
「ザナルカンドで究極召喚を授かり、その究極召喚獣でシンを倒すとーー召喚士は死ぬんだ。
シンを倒した歴代の大召喚士様たちも、そうして亡くなられた」
ジェクトの紅い瞳が、驚きに染まる。
「やはり、君にも話しておくベきだったね・・すまない」
「何でーーブラスカが謝るんだよ!!謝るのは、俺だろーがっ!!」
ジェクトは握りしめた拳を、壁に叩きつけた。
鈍い音。
盛り上がった肩が大きく揺れ、喰いしばった歯の間から洩れる、呼吸の音だけが聴こえる。
恐らく、自分がブラスカに放ったもろもろの言葉をーー悔いているのだろう。
誰も ジェクトに掛ける言葉が
見つからなかった。
ブラスカは、どうしたらいいのかわからずに、立ち尽くしている二人に
「アーロン、アヤ、もう休みなさい。明日の朝も、早いのだからーー」
アーロンは口を開き掛けたが、何も言葉が出て来なかった。
「はい・・」
ふたりが出ていくと、ジェクトは
「俺も・・寝るわ。悪かったな、騒いで」
壁を向いたまま、言った。
「あぁ・・おやすみ、ジェクト」
三人が部屋から出ると、ブラスカは随分長い間、動かなかった。
翌朝、ブラスカが宿の食堂にいくと、中から笑い声が聞こえてきた。
顔を覗かせると
「おう、ブラスカ。遅いじゃねえか、寝坊か?」
ジェクトの笑顔が出迎えた。
いつもと変わらない彼に、戸惑いながらもブラスカは笑った。
グアドサラムを出て、雷平原を抜けた。
マカラーニャの森を歩いていると、ジェクトが不意に立ち止まった。
「なあ、この辺りにスフィアの泉があったよな」
「あぁ。泉がどうかしたのかい?」
「んーーちっとな」
泉の入り口まで来ると、ジェクトは真面目な顔で三人を見た。
「少し、待っていてくれねえか」
「何を、撮っているのかな・・」
アヤが、入り口を見ながら呟いた。
「さあねーー」
この頃から、ジェクトはザナルカンドのことを、口にしなくなった。
.
