37話 過去への旅 彷徨
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話しは平行線を辿っているらしく、ブラスカの顔が徐々に険しくなっていく。
「ジスカル殿、私は必ずシンを倒します。
ヒトである私がシンを倒せば、一族の考えも変わるでしょう。
どうか、ご子息を呼び戻して下さい。家族は、伴にあるベきです」
ブラスカの訴えに、トワメルが意を立てる。
「ジスカル様!歴史あるグアドの一族が、どうなってもよいのですか!?」
日ごろ穏やかなブラスカが、きつい視線でトワメルを凝視し、声を荒げる。
「トワメル殿。何故、其処までご子息を排除しようとするのです」
「誇り高いグアドに、ヒトの血が混ざり込んでいるからに決まっているではありませんか」
そう言うと、トワメルは笑った。唇は歪み、瞳には蔑みの色が宿る。
「これは失礼。貴方がたも、ヒトでしたね」
「わざとらしい」
トワメルの物言いに、アヤはあからさまに嫌な顔をした。
「なあ、『ヒト』とかグアドとか。アイツ、何言ってんだ?」
「グアドはね、異界の守人なの。だから私たち『ヒト』より、高い所にいると思っているの」
アヤの言葉に、アーロンが続いた。
「ジスカル族長は、ヒトと結婚した。ヒトとの間に出来た子供の事で、一族が分裂しかけた。
それを治める為に、ジスカルは妻と息子を一族から追放した」
「そんな理由で、てめえのガキと女房を追放したのか?」
アーロンの説明に、呆れ顔でジェクトは呟いた。
エボンとの確執は、アルベドだけではない。
族長ジスカルが僧官となり、教えを説いてはいるが、グアドにはまだまだ浸透してはいない。
ヒトとの共存も、まだグアドは受け入れていないのだ。
「約束して下さい、ジスカル殿。ご子息シーモア殿と一緒に暮らすと」
トワメルがなんと言おうと、ブラスカも自分の意見を曲げない。
ジスカルも、流石に根負けした。
「ーーわかりました。究極召喚で命を賭してまで、シンを倒そうとしている貴方に敬意を表して。シーモアを呼び戻しましょう」
「有難うございます。ジスカル殿」
その言葉に、ブラスカの顔に笑みが浮かぶ。
が、ジェクトの動きが止まった。
「・・・・・」
「ジェクト、どうしたの?」
持っていた皿をアヤに押し付け、ツカツカと傍へ歩いて行くと、ブラスカを睨むように凝視する。
「命を賭けてってーーなんだよ」
「ジェクト・・」
彼の険しい視線に、ブラスカは言葉に詰まる。
ジェクトにはまだ、究極召喚の真実をーー知らせていなかった
「これは可笑しな事を仰る。究極召喚の事に、他有りますまい。
、、
あなた方ヒトは、自分の命と引き換えに、究極召喚を授かりシンを倒す。そうですな、ブラスカ様」
「え、えぇーー」
トワメルの言葉に、ブラスカは口籠もった。
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