37話 過去への旅 彷徨
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数時間後、何とかシパーフに乗り、幻光河の北岸へ着いた。
川沿いに移動した後、森に入る。
陽が射し込む木々に夾まれた小径を、グアドサラムに向かった。
「なあ、南へ行く時に訪ねた屋敷に行くんだろう?」
「あぁ」
その時は主が留守と、トワメルという男に門前払いを喰らった。
今回も、けんもほろろに、追い返されるかもしれない。
「ブラスカ様、何故グアドにこだわるのです?」
「父親だからーーかな」
ブラスカは、哀しい瞳で笑った。
木々の密度が上がり、グアドサラムの入り口が見えて来た。
「今夜の宿は、どうしようかねえ・・アーロン」
思案顔で、ブラスカは言った。
これから訪ねていく屋敷に、泊めて貰おうかと策を練っているのかもしれない。
「俺と、アヤの所持金があります。贅沢をしなければ、なんとかーー」
野宿をするにしても、食料は必要だ。やはり、無一文で旅は出来ない。
「すまない」
「ブラスカ様が謝る必要はありません」
アーロンは、ジェクトを一瞥する。
「だから~!悪かったって言ったじゃねえか!しつけえぞ、アーロン」
「それは、すまなかったな」
ワザとらしく言うと、アーロンは腕を組んでそっポを向いた。
ブラスカとアヤは、苦笑した。
グアドの族長である、ジスカルの屋敷の前に立った。
扉を叩くと、往路の時と同じようにジスカル・グアドに仕える、トワメル・グアドが顔を見せる。
「ジスカル殿に、お取り次を願います」
ブラスカがひと言告げると、トワメルは四人を中へ招き入れた。
大広間で待つよう言われ、トワメルは部屋を出て行った。
広間に飾られた調度品を眺めていると、静かに扉が開き、ジスカルが現れる。
「ジスカル殿、お忙しいところを申し訳ない」
ブラスカの訪問を、迷惑に感じている事をジスカルは隠さなかった。
「なあ、アヤちゃん。アイツ、なんなんだ?」
ブラスカとジスカルが話し始めると、振る舞われた料理を口に運びながら、ジェクトは訊いた。
「グアド族の族長の、ジスカル様だよ。マカラーニャ寺院の僧官なの」
「あの、氷の中にある寺院か」
「うん。なんか、色々揉めてるみたいで。ここと寺院を、行ったりきたりしてるんだって」
ジェクトは、不思議そうにブラスカの横顔を見つめた。
「何で、会いに来たんだ?」
