37話 過去への旅 彷徨
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「あ~、クラクラするぜ・・」
河辺に横になっていたジェクトは、頭を押さえながら起き上がった。
「・・あん?なんだよ」
自分を見るアーロンの冷たい視線に、ジェクトは怪訝な顔をする。
「シパーフは、まだ来ねえのか?」
「ジェクト・・覚えてないの?」
「へ?」
アヤは、困った顔で後ろを振り返った。
アヤの視線の先は、何かに踏み潰されたように、メチャクチャになっていた。
ゴンドラは無事だったが
「どうなってんだよ!?」
「あんたのせいだろう」
アヤの背後から、アーロンが冷水のような声を浴びせる。
「何で俺のせいなんだよ!」
ムキになるジェクトに、ブラスカは落ち着いた声で説明する。
「君が、魔物と間違えて、シパーフに斬りかかってね。
そのせいで、シパーフが暴れ出して壊してしまったんだ」
「なんだって!?そりゃあ、ほんとなのか?」
「シパーフが落ち着くまで、向こう岸へは渡れない」
ふたりの説明に、ジェクトの酔いが一気に醒める。
「ブラスカ、すまねえ!!」
ジェクトは頭を下げた。
「やってしまった事は仕方がない。しばらく休むといい。アヤ、ジェクトを頼んだよ」
ブラスカとアーロンは、無惨な姿に変わり果てたシパーフ乗り場へ向かう。
「どこ行くんだよ!!」
「ハイペロ族に、謝罪してくるよ」
「渡れるようになるまでに、酔いを醒ませ。そうでなければ、置いていく」
アーロンの捨て科白に、ジェクトはうなだれた。
酔いを醒ます為に木陰に寝転がっていると、戻って来たアーロンが、無言でそれを眺める。
「なにしてやがんだよ・・」
「また、バカな真似をしないように、監視している。
あんたが酔って、シパーフを斬りつけたおかげでーーごっそり迷惑料を取られた。ブラスカ様の大事な旅費だ」
「だから、頭を下げたじゃねえか。
もう、二度としねえよ。約束する」
「約束だと?酔った途端に忘れてしまえば、意味はない」
別に、ジェクトが憎くて言っているんじゃない。
旅の支障になるのが、嫌なのだ。
「まあまあ、アーロン。ジェクトも反省してるんだ。逸れくらいにしてやろう」
ブラスカが執り成すと、ジェクトはガバッと起き上がった。
「よし、キメた!!俺は今日限り、酒をやめる!!」
突然の宣言に、ブラスカは目を見張る。
「シンを倒して、スピラを救う大事な旅なんだろ?
くだらねえ事で、足引っ張っちまったらーーな」
ジェクトはアーロンと目が会うと、後ろを向いて、声を落とした。
「みっともねえマネ晒しちまったら、家族に顔向け出来ねえよ」
その背中を、アーロンはじっと見つめた。
「あぁ・・信じよう」
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