37話 過去への旅 彷徨
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ビサイド島を出て、キーリカ、ルカと北上し直していた。
ルカでは、ブリッツの試合を観戦した。
ジェクトはその試合をスフィアに納め、ティーダに見せると嬉しそうに語った。
ルカから再びミヘン街道へ入り、ジョゼ街道の寺院を目指していた。
今回は騒動を引き寄せる事なく、無事にミヘン街道を抜けた。
「今日中に、寺院にたどり着きそうだね」
ジョゼ街道から海を望みながら、ブラスカは言った。
ジョゼ街道は海沿いにある。その為、シンも現れ易い。
そのせいで、ジョゼ街道には集落がなかった。
旅行公司もない為、寺院にたどり着けなければ野宿である。
野宿は体力を奪う。
これから先の行程を思えば、出来るだけ避けたい。
アーロンはそう考えていた。
とはいえ、シンが現れなければ、寺院に赴く者が歩くとても穏やかな道だ。
白く波たつ海を見ながら歩く街道は、とても気分が良かった。
「ありがてえ、やっぱり布団で寝てえからなぁ」
ジェクトにも、笑みが浮かぶ。
アヤは、ジェクトの体躯を見上げ、思い出したように訊いた。
「ねえブラスカ。確か大召喚士様の中に、ブリッツの選手がいたよね」
ブラスカはアヤを振り返る。
「あぁ、オハランド様のことかい?」
「へえ~」
ジェクトが驚きに目を見開くと、アーロンが補足する。
「御聖像の中の、御一人だ」
「じゃあ、ツラを拝んどくか」
ルカでブリッツの試合を観戦したからか、ジェクトはずっと上機嫌だった。
この後、あんな事になろうとはーー誰も思っても見なかった。
夕刻、ジョゼ寺院に無事にたどり着いた。
ブラスカは寺院の奥へ。
三人は大召喚士オハランドの像を見上げた後、寺院のすぐ横にある宿屋に泊まった。
夕食をすませると、ジェクトは酒を飲み始めた。
しばらくは付き合っていたが、終わる気配を見せない宴に、アーロンは自分の部屋に引き上げた。
アヤは、とうに休んでいた。
「・・ン、・・ーロン」
肩を揺すられ、アーロンは重い瞼を持ち上げる。
まだ夕べの酒が残っているのか、体がだるい。
「んーーアヤ、か?」
アーロンは、体を起こす。
ベッドの横に、アヤが困った顔で立っている。
「アーロン、ジェクトがいないの」
旅行公司や宿屋に泊まると、皆を起こすのがアヤの役目だった。
今朝も寝起きの悪いジェクトを、一番に起こしにいったのだが。
「いないの、どこにも」
アーロンは手早く身仕度をすると、アヤと共に宿を出た。
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