37話 過去への旅 彷徨
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
寺院の前では、村人が総出で迎えてくれた。
ビサイド寺院の僧官が、満面の笑みで歩み寄って来る。
「よくぞ、ビサイド島へいらして下さいました。ブラスカ様、ガードの皆さま」
エボンの祈りを捧げながら、深々と頭(こうベ)を垂れた。
僧官に案内されて、寺院の中を歩いていると
「私が、落ちこぼれの召喚士だってことは、伝わっていないようだね」
ブラスカは、楽しそうに笑った。
召喚士が究極召喚の旅に出ると、ベベル寺院は、スピラ各地の寺院にお触れを出す。
そのため、行く先々で民や寺院の歓迎を受ける。
宿や交通など、大抵の便宜は計って貰えた。
ビサイド寺院の僧官長に挨拶した後、ブラスカは祈り子の間へ入って行った。
三人は控えの間で待っていたが、ジェクトは途中で村を見物に行った。
ひとつの所に、じっとして居られない性分のようだ。
夕刻に、無事召喚獣を授かり、ブラスカが祈り子の間から出て来た。
旅の疲れも重なり、ブラスカはかなり疲労していた。
直ぐにでも休みたかったが、歓迎の宴を催されては、顔を出さないわけにはいかなかった。
「ブラスカ様、お疲れなのではーー」
アーロンが心配気に尋ねると、ブラスカはそれを振り払うように微笑む。
「大丈夫だよ、アーロン。有難う」
ブラスカは笑顔を浮かべたまま、村人たちの輪に入った。
その夜は、ブラスカは寺院で休み。三人は、村にある討伐隊の宿舎で休んだ。
翌朝、村の子供が運んできた朝食を食べ、寺院へブラスカを迎えに行った。
大広間で待っていると、ブラスカが奥から姿を現した。
彼の顔色を見たアーロンが、進言する。
「ブラスカ様ーーせめて今日一日、お休み下さい」
ジェクトとアヤも、流石に心配気な顔だ。
「大丈夫だよ、アーロン。それに此処を出れば、あとは一気にーー
だから、休んでなんかいられないよ」
そう言うとブラスカは、寺院の出口に向かった。
空は快晴で、南国の太陽の日差しの強さに、思わず目を細める。
「召喚士様!必ずや、シンを倒して下され」
「ナギ節を作って下さい!」
「召喚士様!」
ブラスカへの期待を口にしながら、村人たちは四人を見送る。
それに手を振り返して、村を後にした。
訪れた時に通った、丘の上まで来た。
ブラスカは足を止め、村を見下ろす。
「アーロン、アヤ。私がシンを倒したら・・」
振り返ってふたりを見る。
「私がシンを倒したら、ユウナとこの島で暮らさないか?」
「この島でーーですか?」
.
