37話 過去への旅 彷徨
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【擦れ違う想い】
ベベルを出て、マカラーニャの森を抜けた。
この森は、3ヶ所の土地に繋がっている。
ベベル、ナギ平原、グアド・サラムである。
ザナルカンドへ急ぐのであれば、ナギ平原へ向かえばいい。
しかし、ブラスカがスピラ各地に点在する寺院を巡り、修行を重ねなければならない。
そのため、最南端を目指していたが、当初予定していた日数よりも、大幅に遅れていた。
それは、途中ミヘン街道で魔物を退治したり、騒動に巻き込まれていたせいだ。
原因は、ジェクトだった。
困っている人々を放って置けない彼は、厄介事を片っ端から引き受けてしまう。
その為、一カ所に留まる事が多かった。
「この先のビサイド島で、折り返しだね」
二度めの船に乗り、スピラ最南端のビサイド島を目指していた。
「あ~、やあっと半分か・・・」
船の縁に肘をついて、うんざりした顔でジェクトはボヤいた。
自分が遅れの原因だとは、これっぽっちも思っていないようだ。
船の上は何もする事がなく、ジェクトは退屈仕切っていた。
「ビサイド島も、何もねえんだろう?」
余りにも娯楽が少ないスピラの街に、ジェクトが呆れ顔で尋ねる。
「あぁ、多分ね」
ブラスカの返事に、ジェクトは大きくため息をつく。
「ジェクト、何度も言うが。この旅は、遊びじゃないんだぞ」
「わかってるって。シンを倒す、大事な旅なんだろ~」
アーロンの小言を、のらりくらりとかわす。
アーロンは渋い顔をする。
ジェクトはまだ、究極召喚の意味を知らない。
ブラスカは彼に何も告げておらず、ましてアーロンは、尚のこと口に出来ない。
退屈しきったジェクトを気にも留めず、船はあくまでも、自分のペースで進んで行く。
翌朝、船はビサイド島に到着した。
港とは名ばかりの、木造の質素な桟橋を歩きながら、ジェクトは大きく伸びをする。
「ふぁあ~~やあっと、着いたか~~」
「良かったね」
アヤが笑顔を向けると、ジェクトは伸ばした腕で、彼女の頭をくしゃりと撫でた。
砂浜を抜け、島にひとつしかない寺院に向かう。
整備されていない石ころだらけの坂道を登ると、小高い丘に出た。
その、村を一望出来る丘でブラスカたち立ち止まった。
一見するとのどかな風景だが、あちらこちらにシンの爪跡が見て取れた。
「この島がシンに襲われた時に・・・」
「ん?なんだ?」
「いや、何でもない」
ジェクトの問いに答える事なく、また歩き出した。
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