36話 過去への旅 邂逅
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【ザナルカンドから来た男】
「いってえなっ!!もっと、ていねえに扱えよ!!俺様を誰だと思ってやがる!!!」
後ろから蹴飛ばされ、牢屋の中に転がり込んだ。
それを見たヤツが、ゲラゲラと笑いやがった。
「ザナルカンドからいらした、エース様だろ!」
「あはははははっ!!」
ワザとらしい言葉使いに、俺は睨みつける。
そいつらは鉄格子に鍵をかけると、見張りを残して歩き出した。
「アタマ可笑しいぜ、アイツ」
「シンの毒気じゃないか?可哀想によ!」
ちっとも同情してねぇ口振りで、立ち去って行きやがった。
全く、今日はなんて日だ。ツイてねえ!
俺は、冷たい床に寝転がった。
目を閉じて、自分の身に降りかかった災難を思い返す。
いつものように、独りきりで沖へ出た。
ジェクト様のトレーニングに励む姿なんざ、カッコ悪くて見せられねえ。
何年も、そうしてトレーニングしてきた。
その沖に、時々バカにデカい魚がいた。
クジラか?にしちゃあ動かねえ。
いつでも、海の底に死んだように沈んでいる。
で、次の日にはいねえ。
んで、忘れた頃にまたイやがる。
何なんだよ。アイツは。
今日もいつもの場所へ行くとーー
ーーアイツーー
眠っている深海魚のようだった。
ザナルカンドの青い海が、これっぽっちも似合わねえ。
海の中に差し込む太陽の光が、アイツの姿を燻らせる。
俺は、そいつにゆっくりと近づいた。
やっぱり、死んだように動かねえ。
手を伸ばせば、触れられる距離まで近づく。
微かに蠢く表面に、指先が触れた。
途端に、頭がクラクラして、意識が薄れてくる。
下がってくる瞼を、必死に押し上げようとしたがーー無駄だった。
霞んでいく眼に、そいつの大きく波打つ、岩みてえに硬い皮膚がわずかに映った。
意識を取り戻した時は、さっきのヤツらに囲まれていた。
ご丁寧に、銃を向けてよ。
「貴様、怪しい奴だな。どこから来た!?」
そう言われ、俺は眉をひそめた。
この俺様を知らねえだあ?
「ぁあん!?ザナルカンド・エイブスのジェクト様を知らねえたあ、どういうこった!!」
怒鳴り返すと、銃を構えたヤツらが、一斉に笑い出した。
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