36話 過去への旅 邂逅
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「あの時は、ありがとうございました」
「いやーー」
最初の挨拶を交わしたまま、私たちは言葉に詰まった。
「アヤ、アーロンと逢ったんだって?」
寺院で迷子になった日の晩。
夕飯を食べていた時、唐突にブラスカが聞いてきた。
自分が紹介する前に、私たちが知り合っていたことを、ブラスカはとても喜んだ。
詳しい経緯は・・言えないけど。
「ねえ、ブラスカ。アーロンさんと、どういう関係なの?」
ブラスカに迷惑を掛けるなと、言われた時の彼の眼を思い出す。
怖い程、真剣だった。
「アーロンとは、もう随分と長い付き合いになるね。まあ、簡単に言うと息子みたいなものかな。
彼は、両親がシンに殺されているからね」
「そうなんだ・・」
親代わりというより、崇拝してるように見えた。
そのアーロンから交際を申し込まれた時は、ほんとうに驚いた。
「付き合って欲しい」
そうひと言呟くと、黙り込んでしまった。
「え・・」
突然のことで、戸惑ってしまい旨く言葉が見つからない。
嫌いではないけど、それ程興味があるわけでもなかった。
返事を探して、アーロンの顔を見つめていたけどーー
「ーーはい」
沈黙に耐えられずに、頷いてしまった。
その時、アーロンの顔に、安堵が浮かんだ気がした。
何気に視線を落とせば、握っている拳が微かに揺れている。
初めて逢った時の迫力と、目の前の姿の落差が大きくて、笑みを洩らした。
この事を話すと、今でも顔を赤くして照れるよね。
ブラスカに言ったら、とっても喜んでくれたっけ。
でも、付き合い始めたのはいいけれど、私の仕事は寺院の雑用で。
アーロンは、将来を期待されている僧兵。
決まった休みがとれる私と違って、遠征や訓練でアーロンは忙しかった。
偶に、休みが合うことがあって、街へ出掛けても。
アーロンは無口で、私もあまり旨く喋れる方じゃなくて
会話が弾まなくて、酷く困った。
そんな感じだったから、付き合い始めて三か月経っても、笑ってしまう程、清い関係だった。
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