36話 過去への旅 邂逅
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ベベルに来て、すぐにブラスカの口ききで、寺院で働くことになった。
島の小さな寺院しか知らない私にとって、ベベル寺院はさながら、魔窟のようだった。
兎に角、広い。大きい。そして、コワい。
だって、余りにも人が沢山いるし、立ち入ってはいけない場所も多かった。
寺院の中で迷うこともしばしばで
ーー今も迷っている。
どうしよう、また怒られるよ。そんな事を考えながら、うろついていた。
「なんか、地下に入っちゃったみたい・・」
届け物を胸に抱えて、薄暗い廊下を恐々歩いていた。
所々にしかない明かりは、青白くて心許ない。
「おい、お前なんだ?」
「何うろついてんだよ。この先は、立入禁止だぞ!」
「ひゃあっ!!」
後ろからいきなり聞こえた声に、飛び上がった。
振り返ると、男性の僧兵が二人立っている。
「あ、す、すいません」
咎められて、私は慌てて頭を下げた。
「お前、見かけない顔だな」
僧兵の一人が、顔を覗き込んで来た。
「あ、あの」
思わず後退りをして、背中が壁にぶつかる。
もう一人の僧兵が、私の顔に思い当たる節があるのか、小馬鹿にした笑いを見せる。
「お前、ブラスカの親類だろ?」
「え?あ、はい。そうです」
「ああ、あのアルベド族と結婚した」
二人は、見下した笑みを浮かべる。
「おまえも、アルベド族なんじゃないのか?」
「ち、違います!」
僧兵のひとりが、横へ逃れようとする私の行く手を遮った。
腕を掴み、強引に拘束する。
「離して下さい!」
「アルベド族が、寺院に出入りしてんじゃねえよ!」
「イヤッ!」
僧兵二人に乱暴に扱われ、思わず悲鳴を上げた。兵の一人に、後ろから口を塞がれる。
「うるせえな、騒ぐなよ」
「おい、そこの奥、誰もいなかったよな。ちょっと痛めつけてやろうか」
口元を卑しく歪めた。
それを聞いたもう一人の兵が
「アルベドが堂々と出入りしてんじゃ、神聖な寺院が汚れてしまうってもんだ」
男二人に押さえ込まれて、身動き出来なくなり恐怖に震えた。
無理やり連れていかれようとした時
「何をしている」
後ろからドスの効いた声が掛かり、振り返った二人は、その主に青ざめた。
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