36話 過去への旅 邂逅
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15の年、僧兵になった。
僧兵は全員、司兵院の僧兵軍に所属し、寺院に直轄される身分となる。
僧兵になって分かったことはーー
欺瞞だらけの教えと 寺院の本当の姿。
新しく配属された兵を前に、老師は長長と退屈な訓示を垂れた。
その後、各小隊に分かれた俺たちに手渡されたのは
ーー銃だった
教えに背く機械を渡され、殆どの者が戸惑っていた。
それはそうだろう。
機械文明の発達が、シンを『生んだ』のだから。
しかし、謀反を起こした者を討伐する為と言われ、皆は躊躇いながらも銃を手にした。
其れから、銃の扱いとメンテナンスを覚え、毎日、射撃訓練所に足を運んだ。
最初の1年は、寺院の警護と訓練に明け暮れた。
2年目から、反逆者の粛正の任についた。
スピラには多種多様な民族がいたが、粛正の対象は、主にアルベド族だった。
定まった土地で生活しない彼等を追って、僧兵軍団はスピラ中を遠征した。
最もこれは極秘であり、この任務についていた者は、極わずかだった。
当然、多くの民ーー寺院の中にいる者すら、知らない。
『機械』を使う彼等を粛正する為に、『機械』を使う。
そんな矛盾に嫌悪を示す者もいた。
しかし、俺には、そんなことはどうでも良かった。
ーーブラスカを護る為ならーー
僧兵になって3年後、ブラスカが結婚した。
「アルベド族の娘ーーですか?」
「あぁ。君も、反対かい?」
何とも皮肉な巡り合わせだと、苦笑するしかなかった。
俺は、命令とはいえ
銃を持ち、アルベド族を弾圧している。
一方、父と慕うブラスカは
アルベド族との友好を望み、彼等の元へ足繁く通っていた。
エボンの教えは、スピラに生きる全ての民を救う事を謳っていたから。
表のブラスカと裏の俺
真実を見ている俺と 教えの理想を信じているブラスカ
表と裏 或いは 白と黒
例え全てが黒で在ろうと、ブラスカは白にする事を、諦めないだろう。
「いえ、俺は別に。ただーー」
ブラスカが選んだ人に、文句はなかった。
「アルベドをよく思っていない輩が、多いのではーー特に、このベベルには」
そう言うと、ブラスカは少しの間、考えていた。
俺なりに、相手の身を案じて出た言葉だ。
「分かっている。シエラもーーあぁ、彼女の名だ。それは覚悟している」
ブラスカが見初めたシエラという女性は、アルベド族の族長であるシドという男の妹だと云う。
俺は、テーブルの向こうで静かに話すブラスカの、底知れぬ強さを見た気がした。
1年後、二人の間に子供が生まれた。
俺以外、祝いに訪れる者はいなかった。
大召喚士ユウナレスカから名付けた名
ーーユウナーー
ユウナにその名がついた事を、誰もが嫌悪した。
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