35話 冒涜
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『まだ間に合う!帰りましょう!!』
『私が帰ったら、誰がシンを倒す?
他の召喚士とガ-ドに、同じ思いを味あわせろと?』
『それは・・しかし、何か方法がある筈です!』
『でも、今は何もないわ』
『決めた。祈り子には、俺がなる。ずっと、考えてたんだけどよ・・俺の夢は、ザナルカンドにいる。
あのチビを、一流の選手に育て上げて、てっぺんからの眺めってヤツを、見せてやりたくてよ。でもなーー
どうやら俺は、あそこにゃ帰れねえらしい。アイツには…もう、会えねえよ。
となりゃ、俺の夢はおしまいだ。だからよ
俺は、祈り子ってヤツになってみせるぜ。
ブラスカと一緒に、シンと戦ってやらあ。
そうすれば、俺の人生にも意味が出来るってもんよ』
『ヤケになるな!生きていれば、無限の可能性が、あんたを待っているんだ!』
『ヤケじゃねえ!俺なりに考えたんだよ。
それによ、アーロン。無限の可能性なんてーー信じるトシでもねえんだ、俺は』
『ジェクト』
『何だ、止めても無駄だぞ』
『すまんーーいや、ありがとう』
『ブラスカにゃ、まだシンを倒すって大仕事が残ってる。
アーロン、アヤ。俺の分まで、ブラスカを守れよ』
『・・・』
『うん、必ず守るよ』
『んじゃ、行くか』
『ブラスカ様!ジェクト!』
『まだ、なんかあんのか?』
『シンは、何度でも甦る!短いナギ節の後で、また復活してしまうんだ!
この流れを変えないと、ふたりとも無駄死にだぞ!!』
『だが、今度こそ。復活しないかもしれない。賭けてみるさ』
『ま、アーロンの言うことも最もだ。よし!俺がなんとかしてやる』
『何か、策があるというのか?』
『ジェクト?』
『無限の可能性にでも、期待すっか!ハハハハハっっ!!』
高笑いを残し、二人は
扉の向こうに消えた。
アーロンは二人を追い、階段を上りかける。
『アーロン!』
引き留めるように、後ろからアヤが抱き付く。
『触るなっ!』
アーロンの太い腕で振り払らわれ、アヤは後ろへ大きくよろめいた。
『きゃあっ!』
悲鳴を上げて倒れてきたアヤを、キマリは受け止めようと両手を広げた。
だが、アヤはキマリの体をすり抜け、俯せに床へ倒れた。
なすすべも無く膝をついた十年前の自分に、アーロンは大太刀を手に近づいた。
「はあああっっ!!」
うなだれる自分を、アーロンは何度も斬りつける。
やがて幻は消え、それは、虚しく空を斬るだけだった。
「そしてーー何も変わらなかった」
.
