35話 冒涜
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祈り子の間から奥へ進み、さっきの僧官が出て来た広間を見渡した。
すると、広間の先にある、階段上の扉が開く。
「なんか出て来るよ?!」
リュックが、怯えながら叫んだ。
扉が開き、髪の長い美しい女性が姿を現す。
「ユウナレスカ様」
グアドサラムでみた、スフィアの映像と同じ姿。
その時と同じように、アーロンは皮肉な笑みを浮かべ、アヤは顔を背けた。
ユウナレスカは優雅に歩いて来ると、階段の上から一行を見下ろした。
「ようこそ、ザナルカンドへ。
長い旅路を越え、よくぞたどり着きました」
皆、女神のような神々しさに、言葉も出なかった。
リュックは、申し訳程度に身体を覆ったユウナレスカの美しい姿態に、ポカンと口を開けている。
そんなことなど気にもとめず、ユウナレスカは妖艶に告げる。
「大いなる祝福を、今こそ授けましょう。我が究極の秘儀、究極召喚をーー」
その言葉に、皆は我に返った。
ユウナの胸が震える。
「さあ、選ぶのです」
「え?」
意外な言葉に、ユウナは戸惑った。
選ぶ? 何を? 究極召喚以外の 何を?
ユウナレスカは、階段を一段一段、音もなく滑り降りて来る。
彼女は、ユウナの戸惑いを無視して、続けた。
「あなたが選んだ勇士をひとり、私の力で変えましょう。そう、あなたのーー」
アヤは、目を閉じた。
ーー究極召喚の 祈り子にーー
静かに 華やかに 凜としたユウナレスカの声が
告げた
どよめきと、短い悲鳴が上がり、動揺が広がる。
ルールーの唇が震え、ワッカはみっともないくらいうろたえた。
リュックは、訳がわからないと頭を抱える。
キマリでさえ、ひと目見てわかる程に。
「想いの力、絆の力。その結晶こそ、究極召喚。
召喚士と強く結ばれた者が、祈り子となって得られる力。
ふたりを結ぶ想いの絆が、シンを倒す光となります」
ユウナは、ユウナレスカを見つめた。
「千年前ーー私は、わが夫ゼイオンを選びました。
ゼイオンを祈り子に変え、私の究極召喚を得たのです。
恐れることはありません。究極召喚でシンを倒せば、あなたの命も散るのです。
命が消えるその時に、悲しみは消え去ります。
あなたの父、ブラスカもまた、同じ道を選びました」
アーロンは、拳を握り締める。
「召喚士ユウナ。私は、この奥の『摩天』で待っています」
そう言うと、ユウナレスカは姿を消した。
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