35話 冒涜
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『あぁん?究極召喚がねえだあ!?』
押し黙って待っていると、ユウナは思いの外、あっけなく戻って来た。
「アーロンさん!みんな、来て!」
何があったのか問い質す余裕もなく、ティーダたちはユウナの後を追った。
祈り子の間に入ると、床一面にある祈り子像を、ユウナは指差した。
「これ、祈り子様じゃない。ただの石像なの」
「その像は、既に祈り子としての力を失っておる」
奥の大広間からいきなり現れた僧官が、呆気にとられる一行に説明する。
「あんた、さっきのーー」
「史上初めて、究極召喚の祈り子となったゼイオン様。
そのお姿を留める像に過ぎぬ。ゼイオン様はもう、消えてしまわれた」
「消えたあ!?」
ワッカが叫ぶと、リュックが続いた。
「てことは、究極召喚もなくなっちゃったの!?」
リュックの声は、歓喜に溢れている。
だが、リュックの喜びを、僧官は打ち消した。
「ご安心なされい。ユウナレスカ様が、新たな究極召喚を授けて下さる。
召喚士と、一心同体に結びつく大いなる力をーー
奥に進むがよい。ユウナレスカ様のみもとへ」
物言わぬ、祈り子像を見つめていたティーダは、大広間へ進もうとしているアーロンを呼び止めた。
「アーロン、アヤ、ちょっと待てよ。
あんたたち、最初っから知ってたんだよな?」
「えぇ」
アヤの、落ち着いた声が返ってくる。
その態度が、リュックの神経を逆撫でする。
「どうして黙ってたの!?」
アーロンは、自分の胸の内を明かした。
「お前たち自身に、真実の姿を見せる為だ」
始めから知っていても、何も変わりはしない。
究極召喚を得れば、召喚士は命を落とす。
死の螺旋が、繰り返されるだけ。ならばーー
「ユウナ」
奥へ進もうとするユウナを、キマリは呼び止めた。
ユウナは僅かに俯き、振り返らずに返事をする。
「もう、戻れないよ」
「わかっている」
キマリは、ユウナに並んだ。
「キマリが先に行く。ユウナの前は、キマリが護る」
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