34話 恋慕文
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リュックが、沈黙を破った。
「みんな、ホントにいいの!?あそこに着いたら、ユウナんはーー」
訴えかけるリュックの言葉に、誰もが目を逸らし、押し黙る。
「リュックの気持ちは、とても嬉しいんだ。でもね、もう引き返せない」
ユウナはたおやかに微笑んだ後、揺るがぬ決意に満ちた瞳をリュックに向けた。
「引き返せなんて言わないよ。でも、考えようよ!ユウナん助かる方法、考えようよ!」
必死に叫ぶリュックを、ユウナは優しく諭す。
「考えたら、迷うかもしれないから」
「ユウナん」
涙を浮かべるリュックにユウナは近づき、そっと背中に腕を廻した。
細い腕が、リュックの背を抱きしめる。
「ありがとう、リュック。大好きだよ」
目の前にある自分と同じ翠の瞳から、涙が溢れ出す。
どんなに微笑んでも、その涙はやまなかった。
「やだよ、ユウナん。そんなこと言っちゃ・・やだよ」
リュックは、ユウナの肩に顔をうずめ、首を振る。
そのたびに、リュックの瞳から涙が溢れた。
「シドさんに、よろしく言って」
「いやだよ。自分で言いなよ」
怒ったように呟くリュックに、ユウナは困った顔をする。
「・・お願い」
「そんなこと言わないでよ、もう、会えなくなるみたいで嫌だよ!」
泣きやまないリュックの肩を、ワッカがそっと抱いた。
ゆっくりとユウナから離すと、自分の胸に引き寄せた。
「リュック・・ユウナを困らせんなよ・・な・・」
ワッカの服に、リュックの涙と嗚咽が染み込んでいく。
ルールーが、リュックの背中を優しく撫でた。
「行こう」
その様子を見ていたユウナは、彼女の想いを振り切るように言った。
皆が歩き出すと、いちばん後ろにいたティーダは、道に落ちていたスフィアを拾い上げる。
さっき、ユウナの袂から滑り落ちたものだった。
それを、耳を押し当てた。
目を閉じて耳を澄ますと、波の音が聞こえた。
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