34話 恋慕文
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ガーディアンを倒すと、またザナルカンドに向かって歩き出す。
「ねえ!ちょっと休憩しない?」
「休む必要はない。あとひと息で山頂だ」
怒ったように声を張り上げるリュックの提案を、アーロンは即座に却下する。
「あとちょっとだから、休みたいんだってば!」
リュックは駄々をこねる子供のように、しゃがみ込んだ。
「考える時間、少ししかないんだもん」
「リュック・・」
悲しい顔で近寄って来るユウナに、リュックは立ち上がる。
「いいよ。歩きながら考えるから」
ユウナに促され、リュックは渋々歩き出した。
すると、今度はティーダが動かなくなった。
それに気づいたワッカが、ティーダの肩に手を置く。
「おう、どうした。行こうぜ」
「ほんとに、もうすぐなんだな・・」
祈り子の谷での出来事が、ティーダの頭の中に甦る。
だが、ワッカはそれを、知る由もない。
「あぁ。とうとう、ここまで来ちまったな・・・」
ワッカは、ティーダとは違う感慨に浸っていた。
ティーダの様子を見ていたアーロンが、笑い声を洩らす。
「ふっ」
それを聴いたティーダが、怒りを含んだ声を出す。
「何がおかしいんだよ」
「・・・」
アヤも、怪訝な顔で立ち止まった。
「昔の俺と、同じだ」
「えーー」
アーロンは目を細める。
それは、目の前に広がる黄昏のせいか。それとも、十年前の己の姿にか。
「あの時、ザナルカンドに近づく程、俺も揺れた。
たどり着いたら、ブラスカは究極召喚を得てーーシンと戦い、死ぬ。
旅の始めから、覚悟していたはずだったが・・いざ、その時が迫ると・・怖くなってな」
黄昏の空から、茜色に染まる大地に視線を落とす。
アーロンの横に、ワッカは立った。
「なんつうか、意外です。伝説のガードでも、迷ったりするなんて」
ワッカの言葉に、アーロンは自虐的に言う。
「何が伝説なものか。あの頃の俺は、ただの若ぞうだ。ちょうど、お前くらいの歳だったな」
ワッカを一瞥した後、ティーダに向き直る。
「何かを変えたいと、願ってはいたがーー結局は、何も出来なかった。
それが・・俺の物語だ」
ティーダは、ハッとした。
アーロンが、ティーダに吐露した己の不甲斐なさを
アヤは、聴いているのか、いないのか
アーロンに背中を向けて、黄昏ていく空を身じろぎもせずに見ている。
その空の下に在る、ザナルカンドを見ている。
ゆっくり歩き出したアーロンを、ティーダは、まばたきもせずに見つめた。
アヤが、アーロンの横に並ぶ。
黄昏に融けていく、アーロンの背中
なんで、そんなに強いんだよ
アーロンも、ユウナも オヤジも
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