34話 恋慕文
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【秘めたる想い】
山頂の谷間を越え、ガガゼト山の洞窟の中を歩いていた。
「それにしても、無事でよかったわ」
ルールーが、天井から滴る水滴で、滑りやすくなっている足元に視線を落としたまま言った。
その声に、ユウナも俯いたままで頷く。
「ほんと」
「も~、すんごく心配したんだから~。ひゃあっ!」
首筋に水滴が落ち、リュックは悲鳴を上げる。
「ゴメンゴメン。なんか、気い失って夢見てた。みんなに呼ばれて、目が覚めたよ」
ティーダは、すまなそうに笑った。
それから、洞窟の中に現れた魔物も危なげなく倒し、ひたすら先を急いだ。
前方に石畳が見えた。
これを登れば、洞窟を抜けることが出来る。
皆が石畳を登る後ろ姿を見ながら、アーロンは立ち止まった。
「そろそろ来る筈だ。召喚士の力を試す為に、奴は魔物を放った」
アーロンが呟いた。
その背中を後ろから見上げ、ユウナは訊ねた。
「誰がですか?」
「ユウナレスカだ」
忌々し気に、アーロンは名を口にした。ユウナは、驚きの声を上げる。
「ユウナレスカ様!?」
アーロンは振り返ると、驚きに見開いたユウナの瞳を見つめた。
「ザナルカンドで、召喚士とーーその召喚士と強い絆で結ばれた、ガードを待っている」
「生きてーーいらっしゃる?」
「マイカや、シーモアと同じだ」
「ーーそうですか」
「怖じ気づいたか」
「いいえ。もう、何も怖くないんです」
抑揚のない声に、アーロンはユウナが不安を隠しているのかと思った。
が、ユウナの揺るぎない瞳に、要らぬ心配だったと笑みを浮かべる。
「ふっーーブラスカの娘だな」
思わず洩らしたアーロンの笑みに、ユウナはホッとする。
「最後まで、そうありたいと思っています」
石畳に足をかければ、先に登っていた皆がユウナを待っていた。
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