33話 真実
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重苦しい沈黙のまま、また、峠を歩き出した。
雪混じりの風が、これから起こる事を告げるように、ティーダたちに冷たく吹き付ける。
やがて峠を越え、山頂にたどり着いた時だった。
「あっ!?」
ユウナが声を上げた。
山頂の山肌に沿って、青い煙りのようなものが吐き出され、窪地の中央に流れ込んでいた。
それは、竜巻のように緩い渦を巻きながら、ガガゼト山の遥か上空へ吸い上げられている。
唐突に現れたその景色を、ティーダは、声も無く見上げた。
「なんだ!?これ」
谷間(たにあい)にある無数の像に、ワッカは驚愕する。
山肌に封じ込められた、老若男女の身体。
アヤは、それに近づいた。
「全部、祈り子様よ。これが、聖なる山と言われる由縁ね」
あまりの祈り子像の多さに、ワッカは絶句した。
「召喚されてるーー誰かが召喚してる。この祈り子様たちから、力を引き出している!」
「こんなにいっぱい!?」
祈り子像を見ていたユウナが気づくと、リュックも驚きを隠せない。
ひとりの祈り子から力を引き出すにも、膨大な労力を必要とする。
それが何百体、いや何千体もあるのだ。
「並外れた力ね。一体、誰が、何を?」
畏怖を込めて、ルールーは言った。
リュックは、何も言おうとしないアーロンに絡む。
「ねえ、何か知ってるんでしょ!?教えてよ!」
「他人の知識を宛にするな。何の為の旅だ」
そう一喝すると、祈り子像を横目に歩き出す。
その背中に、すがりつくように叫ぶ。
「ユウナんの命が掛かってるんだよ!」
アーロンが相手にしないとわかると、リュックは矛先を変えた。
「ねえ、アヤ!教えてよ!」
リュックの必死な態度に、アヤは口を開き掛ける。
「ーーあ」
「アヤ」
弾かれたように振り向くと、アーロンは黙って首を振った。
「リュック、アーロンの言う通りだ」
「へっ?」
リュックは面食らう。
「これは、俺たち。俺の、物語なんだから」
ティーダは祈り子像に近づいくと、そっと掌で触れた。
「ーーうわっ!?」
その刹那、ティーダの視界が彩(いろどり)をなくし、真白(ましろ)に染まった。
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