33話 真実
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微笑みを湛え、シーモアは静かに佇んでいる。
だが、満ち足りた笑みの足下には、漆黒の闇がどこまでも広がっていた。
「リュック。先に行って、アーロンに伝えろ」
ティーダは、シーモアから目を反らさずに言った。
突然、出現したシーモアに、リュックは動揺している。
「ひとりで戦う気!?」
「いいから行けって!!」
声を荒げてリュックを急かす。
リュックが踵を返して走っていくと、シーモアは、ひとりで自分に立ち向かうティーダを、喉の奥を鳴らして笑う。
「ふっーーよかろう。先に、死の安息に沈め」
「スカしてんじゃねえよ!!」
近づいて来るシーモアに、ティーダは身構える。
サシじゃ、分が悪い
でも、退くわけにはいかない!
ティーダは剣を構えた。
「格好をつけるな!」
後ろから声がした。
振り向けば、キマリを先頭に、皆が走って来る。
思わず、ティーダの顔に安堵が浮かぶ。
全員がシーモアと対峙するが、彼の目にはユウナしか映っていない。
「ユウナ殿、お久しゅう」
「ユウナ!」
自分に向けられるシーモアの笑みに、一瞬、体が強張る。
が、ルールーに促され、ユウナはロッドを翳した。
「ふんっーー異界送りか」
シーモアは態度を豹変し、吐き捨てるように言った。
そして、ユウナを護るベく、雄々しく立つキマリに目を留める。
「その前に、ロンゾの生き残りに伝えたい事がある」
「何?」
シーモアの口元が綻ぶ。
瞼を閉じ、その裏に先程の事を映し出した。
「実に・・実に勇敢な一族だった。
私の行く手を阻もうと、捨て身で挑みかかり・・ひとり、またひとりーー」
シーモアは、恍惚と優雅な仕草で、悪魔の所業を語った。
アヤは愕然とする。
「ーー殺したのね」
「ばかな」
キマリは言葉を失った。
あの、ビランが、エンケがーー誇り高い強者ーーロンゾが
「キマリ・・」
ユウナがキマリの心中を慮り、名を呼んだ。
皆も、信じられないと云った顔だ。
シーモアは、可笑しさを堪えきれずに笑いながら言った。
「そのロンゾの悲しみ、癒やしてやりたくはないか?」
「何を言いたいのです!」
ユウナは、シーモアの態度に怒りを露わにした。皆も同じだった。
「彼を死なせてやればいい」
「なっーー!!」
シーモアの言葉に、ワッカは絶句する。
峠から下界を見下ろし、シーモアは語る。
母を亡くしてから、長い年月を費やし、得た答えを。
「死ねば、悲しみは露と消える。
スピラ・・死の螺旋に囚われた、悲しみと苦しみの哀れな大地。
私は、全て滅ぼしてーーそして、癒やす為に。そう、ユウナ殿。貴女の力によって」
「シーモア!」
アヤは叫んだ。
真実を知るのは まだーーーー
「ワタシは 新たな『シン』になる」
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