32話 戦場
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リュックは立ち止まった。
次々に皆が追い越していく中、ティーダはリュックの斜め後ろで止まった。
「山、越えたら・・ザナルカンドだよ」
「わかってる」
ティーダは俯き、リュックの背中に、呻くように返事を返す。
「ユウナんーー究極召喚、手に入れちゃうよ」
「わかってるよ」
振り向いたリュックの瞳が、言葉が、容赦なく追い詰める。
時間がない 時間がない 時間がない
わかってる! わかってるよ!!
焦りと苛立ちが、ティーダを支配する。
「あたし・・何も思いつかない」
ティーダに向けられていた瞳が、白い大地に視線を移す。
「俺もだ」
絶望が、喉から吐き出される。
「どうしよ~」
リュックは涙を浮かべ、嘆くことしか出来ない。
誰が悪いわけじゃない
ユウナが自分で決めたこと
でも、ユウナは究極召喚を手に入れたら、すぐにシンを倒すと言うだろう
その前に、何とかしないとーー
あの笑顔が見られなくなるのはーーイヤだ
「何とかなる!」
そればかりを言うティーダを、リュックは疑わしそうに見上げる。
「今の俺たちは、何も知らない。
このままじゃ、ユウナを助けられないけど。
ザナルカンドへ行こう!
行けば、何かわかるって。きっと、そこから始まるんだ」
ーー千年前、シンが現れた地 ザナルカンドーー
「へ~?」
リュックは力強く言うティーダに
「今、頼れるエースって、感じしたよ」
見直したと言われ、ティーダは胸を張る。
「『ザナルカンド・エイブス』のエース!最初から、言ってんだろ」
強気な態度のティーダに、王に仕える家臣のごとく、リュックは恭しく頭を下げる。
「ははーっ」
頭を上げたリュックは、自分たちが歩いて来た登山道を見て、驚きに目を見開いた。
「ああ~~!?」
リュックの声に、ティーダは後ろを見る。
「ーーシーモア!?」
まるで、ベベルで争った事などなかったように、穏やかな笑みを浮かべている。
「ほう・・ジェクトの息子か」
シーモアは、嬉しそうに目を細めた。
32話 終
